公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
複雑な分子系の機能を深く知り制御するには、その構造と柔らかさ(力学的特性)や電子物性を原子レベルで理解する必要がある。近年の非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)技術の発展により、様々な種類の表面の原子像や小さく平坦な有機分子の内部構造が可視化できるようになっている。本研究では、3次元的な大きく柔らかな分子系でも超解像度イメージングを可能とする手法を開発し、反応前後の分子構造を追えるAFM測定技術を確立することを目的とした。2年目である本年度は、主に2つのことに取り組んだ。1つ目は、光照射前後での分子構造変化を追跡できるAFMとSTMの同時測定が可能な装置の開発である。光を照射することで性質を変える分子の界面における振る舞いは複雑である。その反応前後での構造と電子状態や力学的相互作用を、単分子スケールで追跡できるような装置を設計し、顕微鏡本体の組立を行った。2つ目に取り組んだ課題は、A03班の大阪大学大洞氏との共同研究で、大洞氏が最近合成に成功したメゾジベンゾポルフィセン(mDBPc)分子の銅表面における振る舞いについて観察した。分子を真空蒸着させ、その吸着構造を5 KでAFM/STM測定した。STMでは、環形状を反映したように中心が抜けた楕円形が観測されたのに対し、AFMでは、分子骨格を反映した像を得ることに成功した。探針-分子間距離により、分子の見え方が変化し、探針-分子の相互作用の種類や大きさが距離により大きく変わることが示唆された。その詳細を明らかにするために、像の各ピクセルで力-距離曲線を取得する3D Force Volume測定をし、解析を進めた。シス体、トランス体の安定性や、分子内部での水素トランスファー等を解明するのに必要な情報を得ることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (3件)
日本化学会研究会「低次元系光機能材料研究会」ニュースレター
巻: 10 ページ: 6-8
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http://www.yawaraka.org/letter.php