配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2015年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2014年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究実績の概要 |
1,1-ジフルオロシクロプロパンは生理活性化合物の部分構造として重要であるほか、高い歪みエネルギーを有するため、合成中間体としても有望である。平成27年度は、有機触媒により発生させたジフルオロカルベンを用いる、シリルエノールエーテルのジフルオロシクロプロパン化反応を検討した。有機触媒による穏やかな条件でのジフルオロカルベン発生は、従来のジフルオロカルベン発生条件下で不安定であることが多いシリルエノールエーテルのシクロプロパン化に特に適している。 諸検討の結果、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン (プロトンスポンジ)が有機触媒として適していることを明らかとした。すなわち、種々のα,β-不飽和ケトンから容易に調製できるシリルジエノールエーテルに対し、触媒量のプロトンスポンジ存在下、2,2-ジフルオロ-2-フルオロスルホニル酢酸トリメチルシリル (TFDA)を作用させた。その結果、系中で発生した遊離ジフルオロカルベンによるジフルオロシクロプロパン化が効率良く進行した。 生成した1,1-ジフルオロ-2-シロキシ-2-ビニルシクロプロパンは、医農薬として有望な含フッ素シクロペンタノン誘導体合成のための中間体として機能した。まず、上述のジフルオロ(シロキシ)(ビニル)シクロプロパンに触媒量のBu4N SiF2Ph3 (TBAT)を作用させ、シクロプロパン環の開裂を伴う脱離を経て、1-フルオロビニル=ビニル=ケトンを収率良く得た(ナザロフ前駆体)。このジビニルケトンに等モル量のMe3Si B(OTf)4を作用させ、フッ素のα-カチオン安定化効果を利用する位置選択的なナザロフ環化により、2-フルオロ-2-シクロペンテノンを収率良く得た。有機触媒の活用によりその前駆体の簡便合成が可能になったため、このような位置選択的なナザロフ環化が実現した。
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