公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
含窒素複素環式カルベン (N-Heterocyclic Carbene, 以下NHC) は、α,β-不飽和アルデヒドやその等価体の極性転換を経て、炭素-炭素二重結合と共役した共役型Breslow中間体を与える。共役型Breslow中間体はホモエノラート等価体として機能し、芳香族アルデヒドやN-スルホニルイミンなど様々な求電子剤との交差反応により、生理活性分子や天然物に多く含まれるヘテロ五員環化合物を与える。しかしながら、ホモエノラート等価体を用いる不斉触媒反応の報告例は少なく、成功例においても限られた反応系でのみ有効であり、一般に基質適用範囲も狭い。このような背景をもとに本研究課題では、高い触媒活性とエナンチオ制御能を兼ね備えた高次機能性アゾリウムカルベン触媒の創製し、ホモエノラート等価体の特性をいかした不斉触媒反応を開発するための基礎的知見を得ることを目的として研究を実施した。昨年度の結果を踏まえ、報告者らは広範囲なNHC触媒反応に利用可能な触媒骨格として、ピロリジン縮環型トリアゾリウム塩に着目し、フッ素原子に起因する立体電子効果を利用する新規含フッ素トリアゾリウム塩を設計・合成した。合成した含フッ素トリアゾリウム塩を触媒前駆体として、シンナムアルデヒドとp-ブロモベンズアルデヒドを基質とするホモエノラート等価体を経由する不斉ラクトン化反応を検討したところ、目的とするγ-ブチロラクトンが高エナンチオ選択的に得られることを見出した (93:7)。これらの成果は、今後のNHC触媒を用いた物質科学研究の進展に資するものである。なお、開発された研究成果の一部をもとに、さらなる応用研究が進行中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (23件) (うち招待講演 5件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
巻: 26 号: 2 ページ: 397-400
10.1016/j.bmcl.2015.11.103
Organic Letters
巻: 17 号: 10 ページ: 2302-2305
10.1021/acs.orglett.5b00611
巻: 17 号: 21 ページ: 5372-5375
10.1021/acs.orglett.5b02720
Tetrahedron
巻: XX 号: 29 ページ: 4400-4404
10.1016/j.tet.2014.04.063
Journal of Organic Chemistry
巻: 79 (15) 号: 15 ページ: 6808-6815
10.1021/jo500605c