配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2015年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2014年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
α-位に活性化基を持たない単純な脂肪族カルボン酸誘導体α-位でのエナンチオ選択的付加反応の開発を目指し、前年度に引き続き、種々のカルボニル化合物のα-位での共役付加反応の検討を行った。その結果、カルボン酸誘導体への誘導化が容易なケトンであるα,α-ジフルオロ-α-スルホンケトンを求核剤とし、独自に開発したグアニジンとウレア基を持つ二官能性触媒を用いると、エチレンマロネートへの共役付加反応が比較的高いエナンチオ選択性(最高67% ee)で進行することを見出した。更に検討の結果、アクロレインへの共役付加反応も首尾よく進行し、しかもある程度のエナンチオ選択性(最高52% ee)で目的物が得られることを見出した。尚、この付加生成物は反応性の高いアルデヒドであり、強塩基法等の従来法では、この生成物を収率よく得ることは極めて困難であると考えられるため、この結果は、温和な有機分子触媒反応の特徴を活かした非常に意義のある結果であると考えられる。また、α,α-ジフルオロ-α-スルホンケトンと同様に反応性の高いα-ケトエステルの付加反応も検討し、エチレンマロネートへの共役付加反応で、触媒を改良することにより、最高95% eeまで選択性を向上させることに成功した。 求核剤基質としてα-ホルミルチオエステルを用いるキラル四級炭素構築を伴うビニルケトン類への共役付加反応の開発に関しても前年度に引き続き学術雑誌投稿のためのデータ収集を行い、学術雑誌に掲載された(Chem. Eur. J. 2015, 21, 18971-18974.)。
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