公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
前年度には、グラフェンおよび2硫化タングステンなどの2次元原子層材料に吸着する酸素分子が、電気双極子を形成し、基板として用いているInP等の半導体の表面バンド構造を変調するため、フェムト秒パルスレーザー励起により放射されるテラヘルツ波の波形が変化することを見いだした。さらにこの現象を利用して、レーザーテラヘルツ顕微鏡(LTEM)により吸着ガス分子濃度分布のイメージングが可能であることを示した。平成27年度は、2次元原子層物質表面の酸素分子の吸着エネルギーをより定量的に計測するために、昇温脱理法とLTEMを組み合わせた新規な計測手法を開発した。具体的には、2次元材料を真空中で、室温から約450Kの温度範囲で昇温しながら、放射されるテラヘルツ波の波形およびその振幅イメージングを行った。すでに述べたように、放射される波形は酸素分子の吸着濃度にしたがって変化するため、各温度におけるレーザー照射位置における吸着ガス濃度の分布がLTEMで計測可能である。この現象を利用して、グラフェンおよび単原子層2硫化タングステンにおける、テラヘルツ波のピーク振幅の温度依存性をPolanyi-Wignerの式を用いて解析した。その結果、本実験により求めた吸着エネルギーは第1原理計算によって見積もられた酸素の物理吸着エネルギーとほぼ一致した。通常の質量分析器などを利用した昇温脱理法では表面全体の平均的な計測しかできないが、本手法では局所的な情報が得られ、さらに脱離過程だけでなく吸着過程においても計測可能であると言った特徴がある。このように、LEMが、2次元原子層物資の局所的な吸着ガス分子の分析手法として、非常に有効であることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 8件、 招待講演 8件)
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