研究領域 | 原子層科学 |
研究課題/領域番号 |
26107525
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸 亮平 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90452408)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2015年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2015年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2014年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 理論化学 / 化学修飾 / 開殻性分子 / 非線形光学応答 / 層状化合物 / 量子化学 / ナノグラフェン / 分子間相互作用 / 励起電子状態 / 開殻性 |
研究実績の概要 |
本年度は主に炭素炭素結合形成反応の反応中間体や、グラフェンナノフレークの単分子系および二量体についての電子構造と光学応答特性について研究を行った。局在化ジラジカルであるシクロペンタン-1,3-ジラジカル構造を有する中間体の、化学・電子構造と寿命との相関についての実験的研究が行われており、C2位置換基Xの導入により、一重項ジラジカル中間体の速度論的安定性が増大することが明らかになっている。この結果は、この化合物の基底状態の開殻性が置換基により制御されることを示している。この電子構造-光学応答特性の相関関係を量子化学計算により検討した結果、置換基XがOHやFといった、長寿命化を導く置換基の導入により開殻性が中程度となること、その結果として三次非線形光学(NLO)特性の著しい増大が得られることが明らかになった。一方で、線形な分極率にはそのような増大は見られなかった。以上の結果より、基本的なジラジカル骨格である1,3-ジラジカル化合物の構造-光学応答特性相関が見出された。以上の結果は、J. Phys. Chem. Aに掲載され、今後の開殻性化学種の電子構造を非線形光学スペクトルにより明らかにするための基礎研究となると期待される。また、モノラジカル種であるフェナレニルラジカルからなるπ-πスタック型一次元集合体についても高精度励起状態計算を実行し、分子間に中間的な結合を有する二量体の二光子スペクトルの第一ピーク値が、縮環共役型のジフェナレニル化合物の第一ピーク値に匹敵する可能性を見出した。これにより原子層化合物の物性の層間距離依存性に関する知見が得られた。本結果については四量体でのさらなる増大の結果と合わせて、日本化学会春季年会にて発表した。また、開殻性を示すキノイダルオリゴチオフェン誘導体についても、化学修飾-電子構造-光応答物性の相関を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に原子層化合物創成に重要な炭素炭素結合形成反応の反応中間体や、グラフェンナノフレークの単分子系についての電子構造と光学応答特性について研究を行ったが、翌年度以降検討する予定であるグラフェンナノフレークの二層系についての予備的な結果も得られたため。また、開殻性を持つ化合物への化学修飾に関する基本的な知見も得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
各種のグラフェンナノフレークへの化学修飾による開殻性電子状態の変化と機能化についての研究を行う。その際、同じ領域内での実験家と協力し、置換基効果などと電子スペクトルや光学応答物性との関係を明らかにする。
|