公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
原子膜物質に異種化学種を導入する研究を行い,以下の成果を得た.1)超高真空下で水分圧を厳密に制御し,グラフェンFETへの酸素分子の曝露を行い,電気伝導度のゲート電圧依存性の測定により曝露時間とEfのシフトの相関を調べたところ,酸素吸着時におけるグラフェンのEfの位置と水分子の分圧に依存して酸素からの電荷移動速度が決まることを見出し,グラフェンへの分子吸着によるキャリア注入プロセスが電気化学的メカニズムによって進行することを明らかにした.また,担持基板表面の分子膜修飾とゲート電圧印加により,酸素吸着時のグラフェンフェルミエネルギー大きくシフトさせることにより,別の電気化学反応を誘起して酸素吸着によるグラフェンへの電子ドーピングを実現できることを示した.一方,二硫化モリブデンにおいても酸素への曝露時間の増加に伴う系統的なホールキャリア注入が実現できたが,電極界面の効果など半導体である二硫化モリブデンではグラフェンよりもさらに複雑なメカニズムによって電荷移動が生じていることがわかった.2)Brodie法により磁性不純物を含まない酸化グラフェンを合成し,酸化グラフェンの本質的な磁性を実験的に観測することができた.また,芳香族アミンのカップリング反応やキサンテン誘導体の水中合成反応において,酸化グラフェンが触媒活性を持ち,これがスピン濃度で示される局在状態密度だけでなく,伝導性を持つπ共役の存在割合にも依存していることを明らかにした.3)ナノダイヤモンド表面上でのエピタキシャル成長により合成したナノグラフェンに酸素分子を導入することにより,エッジ状態スピンと酸素分子スピンの反強磁性ダイマーが形成することを静磁化率とESRにより見出し,第一原理計算を行うことにより吸着酸素との電荷移動に由来する磁気スイッチング現象が起きていることを解明し,この成果を取りまとめた論文を投稿中である.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (44件) (うち国際学会 23件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Carbon
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http://takailab.ws.hosei.ac.jp/