公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
SOIピクセル検出器は、X線天文学におけるCCDの弱点を克服できる、画期的な検出器として、将来のX線天文学に於いて重要な役割を持つ可能性がある。KEK(高エネルギー物理学研究所)が、素子の設計、製作を行い、X線天文への応用素子であるXRPIXは京都大学が中心となって、開発を進めている。本研究では、私が実績をもつマルチコリメータ実験をXRPIX検出器に適用することを目指し、基礎研究を行ってきた。マルチコリメータ実験とは、画素よりも十分小さな径をもつ微細なピンホールを等間隔で格子状に開けた金属プレートをピクセル検出器の直前に配置し、平行X線ビームを照射することで、一回の照射でX線ビームが画素内の様々な箇所に入射し、等価的に画素内サンプリングを実現することで、高効率、高精度に信号電荷の画素内入射位置依存性をあぶり出す実験技術である。画素間の個性が小さい多数画素の撮像素子には非常に有効な手法で、すでに、光子計測型のX線CCDに対して、実績がある。本年度は、昨年度までに達成した常温での動作試験に続き、恒温槽内に、素子と電子回路を設置し、-80℃まで冷却した環境下でバイアス電圧を上げて動作試験を実施した。また、本研究で設計製造した超高アスペクト比を実現した金製マルチコリメータについて、非撮像型X線検出器を用いて、透過率から有効な穴径を算出した。結果、直径4μmであり、画素サイズ(30μm)より十分小さいことを確認した。平行X線ビームは、Oxford社製のマイクロフォーカスX線源を用いることとし、そのスポットサイズの微細さから、数10cm離せば、拡がり数秒角の疑似平行ビームが得られ、コンパクトな実験システムが実現した。実験実施に必要なコンポーネントの構築がほぼ完了したので、今後、実験システムを組み上げて、XRPIX素子における信号電荷の画素内非一様性、および電荷雲形状の実測を行いたい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the SPIE
巻: Volume 9905 ページ: 11-11
10.1117/12.2230672