公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
(1)秩序状態を示す物質の探索と光学応答の研究:コロネン錯体とBEDT-TTF錯体を中心に、分子集合体における電子の秩序状態と光学応答の関係について研究を行った。これまでの研究において、コロネン錯体においては、結晶中に含まれるコロネンの価数が均一でなくなる現象(電荷不均化)が起こることを指摘していた。その価数などの精密な評価と理解のためには、ラマン分光測定が有用であるが、主たるラマンピークにみられる分裂の起源が理解されていなかった。そこで構造、価数、電子状態の関係などの分光学的理解のために、重水素化したコロネンを用いた錯体や種々の結晶構造のコロネン錯体のラマン散乱スペクトルについて系統的な検討を行った。その結果、コロネン錯体における電子状態をより精密にラマン分光により明らかにできるようになった。さらにBEDT-TTF錯体における電荷不均化現象に関する光学的研究を行った。BEDT-TTFダイマー内部の電荷位置の自由度に起因した誘電応答が議論されているが、この自由度は格子変形を伴わない電子状態の変化をもたらすと予想されることから、BEDT-TTFダイマー系は電子状態の電場制御に適した系と考えられる。そこで、電荷位置の自由度に関する情報を得ることを目的に光学応答の測定と検討を行った。(2)分子集合体における外場印加状態の研究:分子集合体における外場印加による状態制御を検討した。これまでに、α´型BEDT-TTF錯体において非線形伝導を示す物質があることを明らかにしてきた。このα´型BEDT-TTF錯体を用いて、低温領域において光照射による状態変化を試みた。非線形伝導現象、光照射効果と秩序状態の関係を明らかにするためには、より詳細な分光測定が必要である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Chem. Eur. J.
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10.1002/chem.201505023
Crystal Growth & Design
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130005067982