公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
プロテオグリカン(PG)の糖鎖合成酵素遺伝子について検討し、人口の約1割においてChGn-1酵素の遺伝子に、アミノ酸置換と酵素活性の低下を伴うSNPが存在することを見出した。そして同SNPをもつ男性の多発性硬化症(MS)患者では、疾患の増悪の速度が低いことがわかった。一方同SNPをもつ女性例では、増悪の速度はより高かった。PGは中枢神経のマトリックスを構成する分子であり、MSの経過に関連する可能性が考えられた。ケラタン硫酸(KS)の糖鎖合成酵素であるGlcNAc6STのノックアウトマウス(KS-KOマウス)で、MSのモデルとされる実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を作成すると、重症度が野生型と比べて有意に低下した。リンパ球幼弱化試験でもKS-KOマウスでの反応性は低く、脾細胞の培養上清におけるIL-6とIFN-γはKS-KOで有意に低下しており、脊髄の炎症細胞浸潤もKS-KOマウスで低下していた。以上より、PGの糖鎖改変が免疫性神経疾患の臨床経過に大きく影響することが示唆された。IgMパラプロテイン血症を伴うニューロパチーでは、IgM M蛋白がmyelin-associated glycoprotein (MAG)の糖鎖であるHNK-1エピトープを認識する。このIgM M蛋白は、同じくHNK-1エピトープをもつPGであるphosphacanにも反応する。phosphacanとMAGに対する反応の強さの比(P/M比)が高い症例は臨床的増悪の程度が高く、また経過とともにP/M比がさらに増加する傾向がみられ、P/M比が臨床経過の予測マーカーとなる可能性が考えられた。一方、抗MAG活性を示さないM蛋白を伴う症例の一部で、IgM M蛋白がGD1bなどのジシアロシル基をもつガングリオシドに反応し、感覚障害性運動失調がみられ、比較的IVIgに対する反応が良好であることがわかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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