公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脂質代謝酵素の機能欠失型変異体の機能解析を行うことで、神経幹細胞の可塑性を制御する分子基盤の構築を目指した。今年度は、変異体において神経幹細胞の細胞非自律的な細胞死を誘導するための原因となる細胞の特定に成功した。また、 ショウジョウバエ脳の凍結切片を作成し、質量分析を用いて脳内のエネルギー代謝状況を解析した。その結果、原因となっているサブタイプの神経細胞内で産生されている物質のプロファイリングに定量に成功した。興味深いことに、今回我々が着目した物質は、変異体脳でより多く産生されていた。従って、変異体脳はある種の「過剰発火状態」にあると考えられる。質量分析法を用いて個体そのものの lysate についても解析を行った結果、同様に、この物質は変異体でより多く産生されていた。さらに、ショウジョウバエ脳を酵素処理することで神経幹細胞を単離し、初代培養する実験系を構築して解析を行った結果、上記で特定した物質が神経幹細胞の活性制御に必要である事を裏付ける結果を得た。神経幹細胞死及び個体の致死性は、原因遺伝子を神経特異的に強制発現させることで抑制することができる。同様に、変異体で観察される一連の表現型は原因遺伝子のヒトオルソログを強制発現することでも抑制できる事も見出した。従って、分子機構の多くは進化的に保存されていると考えられる。従って、本研究で解明した一連の分子基盤は、神経変性疾患の分子標的を構築する上で前衛的な知見を与え得るものであると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nucl. Acid Res.
巻: 未定
Medical Science Digest
巻: 41 ページ: 278-279
http://www.okano-lab.com/