公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究代表者は、これまでナトリウムチャネル分子Naxの研究を進め、脳室周囲器官において体液Naレベルセンサーとしての生理機能を有することを見出した。その過程で、脳傷害部位においてNaxの発現が高まることを見出した。しかし、Naxが脳傷害部位においてNaレベルセンサーとして機能するとは考えにくく、生理機能は不明なままであった。本研究では、脳傷害部位におけるNaxの生理的意義について解明を進めた。これまでの研究で、以下のことが明らかになった。(1)神経傷害部位においてエンドセリン濃度が上昇する。(2)神経傷害部位においてNaxの発現が誘導される。(3)NaxはエンドセリンB型受容体を介したシグナルによって開口する。(4)Naxが活性化されると細胞内の嫌気的糖代謝が活性化し、アストロサイトからの乳酸放出が起きる。(5)乳酸は神経細胞の生存に寄与し、神経傷害部位での細胞死が減少する。(6)末梢では、神経切断部位における軸索再伸長がNax依存的に増強される。(6)アストロサイトでは、足場タンパク質SAP97とPDZ配列を介して結合することにより、細胞膜上で安定化している。(7)大脳皮質及び扁桃体基底外側部においてNaxはニューロンに発現しており、足場タンパク質PSD95とPDZ配列を介して結合し、シナプス後部に存在している。(8)ニューロンに発現しているNaxも、グリア細胞に発現しているNaxと同様のNa感受性を示す。(9)Naxのイオン選択性はNa+ ≈ Li+ > Rb+ > Cs+である。以上の成果をCell Metab誌、Eur J Neurosci誌、PLoS One誌等に発表した。また、Naxの発現調節機構、乳酸による神経保護機構、NaxとTRPV4の機能的連関、本体性高Na血症の発症機序に関する新たな知見について、成果をまとめ、それぞれ投稿または投稿準備中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 9件)
Neuroscientist
巻: 21 号: 4 ページ: 399-412
10.1177/1073858414541009
Pflugers Arch.
巻: 467 号: 3 ページ: 465-474
10.1007/s00424-014-1662-4
PLoS One
巻: 10 号: 5 ページ: e0126109-e0126109
10.1371/journal.pone.0126109