公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
DNAメチル化は、核の初期化、ゲノムインプリンティング、X染色体不活化、レトロトランスポゾンの発現抑制などに重要な役割を担っている。本研究は、ヒト初期発生過程におけるDNAメチル化ダイナミクスを、全ゲノムレベルで明らかにすることを目的としている。昨年度は、ヒト卵子、精子および胚盤胞の全ゲノムバイサルファイトシークエンシング(WGBS)解析を行い、受精後の脱メチル化について詳細な解析を行った。本年度は、胎児臍帯血、初期胎盤(7~8週)由来の細胞性栄養膜細胞および間質細胞のWGBS解析を行い、卵子、精子および胚盤胞のメチロームデータとの比較を行った。臍帯血と間質細胞は胚盤胞期の内部細胞塊に、細胞性栄養膜細胞は栄養外胚葉に由来する。胚盤胞は低メチル化状態(平均メチル化率26%)にあるが、臍帯血および間質細胞のメチル化率は75%程度であった。臍帯血および間質細胞では、ゲノムの大部分が着床後にほぼ完全にメチル化されていたが、CpGアイランドは低メチル化、インプリント領域は中程度(30-70%)のメチル化を維持していた。一方で、細胞性栄養膜細胞の平均メチル化率は50%程度であり、多くの領域が中程度のメチル化を維持していることを見出した。さらに、アリル特異的DNAメチル化解析を行ったところ、卵子で高メチル化、精子で低メチル化状態にある領域のうち、約30%が母方アリル特異的メチル化を胎盤で維持していた。一方、その他の領域については、胎盤におけるアリル特異的メチル化は見られなかった。これらの解析より、ヒト胎盤には2500程度の新規インプリント領域が存在することを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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