公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
植物成長には細胞の分裂から伸長への空間的に厳密に制御された細胞機能転換が重要である。この制御には活性酸素種(ROS)が重要なシグナルとして働くが、その詳細なメカニズムの研究は不十分である。そこで本研究では転写因子に着目し、根の成長を制御する新奇ROSシグナルの解明を目的とした。<平成27年度の研究成果>RFRT1の標的遺伝子の遺伝子破壊株もH2O2処理による根端での細胞伸長抑制が野生型株よりも緩和されていた。さらにRFRT1とYFPとの融合遺伝子のエストラジオール(est)誘導発現系を作成し、Time-Lapse imagingを行った。estで誘導後80分で、RFRT1誘導発現株の根の伸長は急激に抑制された。また、RFRT1の発現はest誘導後1時間から強い発現誘導が見られ、3時間後から標的遺伝子群の発現は誘導され始めた。RFRT1は植物免疫応答時の細胞死の活性化因子であることが示されている。そこで、rfrt1変異株を植物の病原微生物関連分子パターン誘導免疫を活性化するFlg22で処理しその根の伸長を観察した。rfrt1変異株では野生型よりもFlg22による根の伸長抑制が弱くなり、RFRT1や標的遺伝子群はFlg22処理後2から4時間後に発現誘導のピークを示した。以上の結果からRFRT1-GRNは根の伸長制御機構と植物免疫応答という異なる重要な二つのイベントに関わる事を分子レベルで明らかにすることができた。本年度はさらにRFRT2の解析も進めた。RFRT2と転写活性化ドメインVP16を融合させた遺伝子の過剰発現株では根の長さが未処理時から極端に短くなった。このRFRT2-VP16過剰発現株を用いたトランスクリトーム解析を行い、その結果興味深いことにRFRT1とその標的遺伝子群が見つかり、RFRT2がRFRT1の上流に位置する可能性も示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current Opinion in Plant Biology
巻: 29 ページ: 57-63
10.1016/j.pbi.2015.09.008