公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
変異型Xist RNAが構築する偽ヘテロクロマチンのヒストン修飾についてChIP-seq解析を行うにはマウス初期胚では十分な材料が得られないため、これに代わる材料として変異胚から樹立したES細胞(ESC)の利用を検討した.その中で生じた最も大きな問題は、メスのESCが培養過程でX染色体を1本欠失し、XOとなる細胞が無視できない頻度で出現することであった.そのため、ESCを利用した解析はこれまでのところ期待通りには進展していない.その打開策として、ESCに変わる新たな材料としてEpiSCの樹立する準備を進めている.一方、変異Xist RNAが引き起こすサイレンシングの異常の程度を明らかにするため、変異胚を用いたRNA-seqを計画した.胎盤を形成する胚体外組織と胎児を形成する胚体組織の間にはX染色体不活性化の仕組みに違いがあるため、それぞれを分けて解析を行っている.胚体外組織については予定しているシーケンシングの大半を終了し、得られたリードの解析を進めている.胚体組織ついては、順次シーケンシングを行っている状態である.これまでに得られた胚体外組織の解析からは、不活性化すべきX染色体を不活性化できないと、X連鎖遺伝子の発現が2倍になるという単純なものではなく、X連鎖遺伝子にも常染色体連鎖遺伝子にも発現レベルが上昇するもの、減少するものが多数観察された.これはX染色体不活性化が単純に雌雄間のX連鎖遺伝子量の差を補償するためだけの機構にとどまらず、ゲノムワイドの遺伝子発現に大きなインパクトを持つものであることを示唆している.このRNA-seq解析を早急に終え、X染色体不活性化の生物学的意義に関するこの新たな考え方を迅速に成果として公表できるよう努める.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (25件) (うち招待講演 5件)
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