公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ゲノム高次構造のダイナミックな変化は、遺伝子発現調節およびゲノム自体の維持•調節機構に深く関与している。ヒストン修飾およびDNAメチル化を介したエピジェネティックな制御機構の異常は、クロマチン高次構造とその調節機構の崩壊を伴い、癌化などの致命的な影響を及ぼす。本研究ではシロイヌナズナのヒストン脱アセチル化酵素HDA6の機能解析をもとに、植物ゲノムの応答・構築・維持およびゲノム進化に与えるエピゲノム構造の変化に着目し、その理解に役立てることを目的とした。Hda6のゲノムワイドな結合部位を同定するとともに、Hda6が特定のレトロトランスポゾン群と反復配列を標的としてゲノムワイドなヘテロクロマチン構造の維持に機能すること、またhda6異変株では、この維持機構の崩壊によりトランンスポゾンの大々的な再活性化が促進され、世代を重ねるに従ってゲノムサイズが極端に増大していることを示唆する結果を得ている。単系統に分離し、数世代自殖させたhda6異変株の世代の異なる個体群に対して、高速シーケンサーを用いたゲノムリシーケンスを行うとともに、ChIP-seq解析により、世代を経過したエピゲノム状態の変化とゲノム塩基配列の増加パターンの同定を進めている。また、環境変動の処理を組み合わせ、これらエピゲノム状態への影響が、ゲノム構造および制御に与える影響を調べた。本研究の成果から、環境応答(特に乾燥ストレス応答)時には、ゲノムワイドなヒストンアセチル化を介したクロマチン構造変化が、新規乾燥応答遺伝子ネットワークを制御していることを突き止めた。この結果は植物の環境適応および生存戦略を解明する大きな成果と考える。これらに基づき、エピゲノム構造変化を基にしたゲノム構造のダイナミックな再編現象と環境変動フォースにリンクしたゲノム安定性およびゲノム進化の機構解明に役立てる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
Scientific Reports
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