公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
哺乳動物の卵子は胎児期の卵巣内で作られ、出生後には作られないと考えられてきた。近年、Tillyらの研究グループがヒト卵巣皮質に卵子幹細胞が存在することを示唆したが、その後多くの研究グループによって、再現性がないことが指摘された。我々は、ヒト卵巣の髄質細胞を分散することで生殖細胞特異的な遺伝子であるPRDM1陽性細胞が発生することをすでに突き止め、本年度は再現性のある卵子への分化誘導法の開発を行い、減数分裂期までの分化誘導に成功した。具体的には、三段階の培養法によって出生後卵巣由来生殖系列細胞(PostOGC)を減数分裂期へと誘導する。一段階目は、BMP4とActivinAによりPRDM1陽性のPostOGC細胞をDAZL陽性細胞へ分化させる。このDAZL陽性細胞は始原生殖細胞が発現するSSEA1とCD61の両陽性であることを確認している。二段階目は、Forskolin、Ciglitazone、wnt agonist、SC79の4種類の活性化因子により減数分裂期直前のSCP3陽性細胞へと分化させる。分化したPostOGCはSCP3陽性であるものの、SCP3が細胞質に局在しているのが特徴的である。三段階目は、PMA、Ciglitazone、SC79、2-HGを添加した培養液を用いる。この三段階目の培養によってSCP3が核へ移行し、減数分裂時の染色体に特異的なSCP3の局在となる。これらの段階培養法は、それぞれ6日間行う。さらに培養6日目に出現するSSEA1,CD61両陽性細胞を単離して、第二、第三段階目の培養法で培養しても同様の結果が得られることから、卵巣髄質内に存在するPostOGCは適切な環境下で減数分裂期へと到達する能力を有していることが初めて明らかになった。これらの結果から、PostOGCを適切に分化誘導することで、卵巣から卵子を再生することが可能になると期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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