公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ゲノム情報を担うクロマチンは細胞周期の進行とともに大規模な構造変換を繰り返す。なかでも細胞分裂はクロマチン構造を損ねる可能性の高い細胞周期イベントであり、複製した姉妹DNA鎖間が解けていない構造「未解構造」の残存による染色体分配の失敗からゲノム不安定性に陥ることが知られている。繰り返し配列が多い非コード領域は、複製に際してこの未解構造が発生しがちであり、その解消機能が特に重要であると考えられる。昨年度までの研究で、Smc5/6複合体を不活性化すると、非コード領域に生じた未解構造を解消できなくなり、染色体が適正に構築されず分配の際に無数のDNAブリッジを発生することを見出したので、本年度は、このDNAブリッジをもたらす未解構造の成因について、姉妹染色分体形成の顕微鏡的解析方法を活用して解析を進めた。まず、複製に関連した未解構造を解析するために、分染色できるBrdU誘導体で細胞をパルスラベル、クロマチン線維を展開、一定時間に進んだ複製を可視化した。この方法で、Smc5/6を不活性化したときの複製と未解構造との関連性を調べたところ、トポイソメラーゼおよびコンデンシンIIの局在も大きく変化していることが分かった。つまりDNAの複製後の構造からM期の染色体を構築するまでには、Smc5/6と分離を促進するトポイソメラーゼとコンデンシンの三者が協調してはたらくという作業仮説が導き出された。こうした観察から「分離と凝縮の協調」を非コード領域において典型的にみることができると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件) 備考 (2件)
Nature Cell Biology
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10.1038/ncb3183
Current Biology
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http://www.jfcr.or.jp/tci/exppathol/
http://www.jfcr.or.jp/laboratory/index.html