公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脳は外部刺激を受けなくても、秩序を持った意味のある活動を続ける。膜電位は自発的に変動し、発火活動にまで至る。こうした自発活動は、外部刺激を受けない睡眠時にも途切れることがない。従来の記憶研究では、自発活動は背景ノイズとして扱われ、取り除くべきものと考えられてきた。しかし実際には、”脳の内部状態”を反映した自発活動も記憶形成、想起に重要であると考えられる。本研究では、特定の細胞集団の自発活動を抑制し、行動に与える影響を調べた。Archaerhodopsinを用いて聴覚皮質の自発活動を抑制した。CaMKIIプロモーターの下流でArchaerhodopsinを発現するアデノ随伴ウイルスを聴覚皮質に注入し、光ファイバーを埋め込んだ。T字迷路にこのマウスを入れ、自発活動を抑制した場合は一方(例えば左側)のアームに餌を置いた。自発活動を抑制しなかった場合は、もう一方(例えば右側)のアームに餌をおいた。餌がどちらにあるか、見て判断することや匂いで判断することはできないように設定した。訓練当初はチャンスレベルの50%の正解率だった。しかしこの訓練を繰り返したところ、マウスは自発活動の抑制を手がかりとして餌を探し当てることができるようになった。また、テスト中ずっと自発活動を抑制する場合だけでなく、テスト前に一定時間だけ抑制した場合でも、テスト時に餌を探し当てられるようになった。一連の結果から、自発活動の抑制が脳における情報になり、記憶形成や想起を引き起こすことを示すものである。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (18件)
Scientific Reports
巻: 6 号: 3 ページ: 21007-21007
10.1038/nprot.2016.021
eLife
巻: 4 ページ: 1-14
10.7554/elife.08274
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 112 号: 31 ページ: 9740-9744
10.1073/pnas.1500869112
Current biology
巻: 25 号: 1 ページ: 117-123
10.1016/j.cub.2014.10.078
The Journal of Neuroscience
巻: 35 号: 2 ページ: 819-830
10.1523/jneurosci.2525-14.2015
J Neurosci.
巻: 34 号: 28 ページ: 9305-9309
10.1523/jneurosci.4233-13.2014
Molecular brain
巻: 7 号: 1 ページ: 30-30
10.1186/1756-6606-7-30