公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脳の発達した動物では、嫌悪刺激と連動した感覚情報を受け取り学習し、同じ感覚情報を受けた場合に素早く反応できる。この反応は、恐怖刺激を無条件刺激、感覚情報を条件刺激とする恐怖応答学習としてとらえられる。本研究では、ゼブラフィッシュを用いて恐怖応答学習における小脳神経回路の役割を解析した。1.小脳神経回路の神経活動をモニターまたは神経活動を操作できるTg系統の作製:小脳神経回路を構成する顆粒細胞、プルキンエ細胞、eurydendroid細胞、下オリーブ核ニューロン、およびBergmannグリア細胞、に改良型転写活性化因子Gal4を発現するTg系統を作製した。また、プルキンエ細胞特異的遺伝子aldocaのプロモーターを用いて、プルキンエ細胞にGCaMP6s、ボツリヌス毒素BoTx-GFP、光遺伝学ツールを発現する系統を作製した。2.恐怖応答学習において活動が制御される小脳神経回路の検索:受精後約20日のゼブラフィッシュ稚魚を、顕微鏡ステージ上にアガロースで固定し、電気ショックを無条件刺激、消灯を条件刺激として、恐怖条件付けを行う実験系を確立した。全ての神経細胞にGCaMP7aを発現する稚魚を用いて恐怖応答学習実験を行い、学習に相関して活性化される小脳ニューロンを見出した。3.恐怖応答学習における小脳神経回路の役割の解明小脳体の顆粒細胞に特異的なGal4系統とGal4依存性にボツリヌス毒素を発現する系統を交配し、顆粒細胞の機能を抑制したゼブラフィッシュ稚魚を作製し、恐怖応答学習実験を行った。その結果、小脳体の顆粒細胞を阻害しても、条件刺激依存性の徐脈は誘導することができたが、顆粒細胞を阻害していないコントロールに比較して、徐脈の持続時間が延長した。この結果は、顆粒細胞からの信号が、恐怖応答の長さあるいは回復のタイミングを制御している可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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