公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
今年度は、記憶の形成期に見られる一過性のセル・アセンブリ(temporary cell assembly)の存在を示唆する結果を得ることができた。これまで同様、異なる音刺激対を用いた複数の記憶課題(記憶課題Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)を用い、記憶課題Iを学習させた後、記憶課題Ⅱを2~4日かけて学習させ(Learn1)、次に記憶課題Ⅲを3~5日かけて学習させ(Learn2)、最後に元の記憶課題Ⅰを再学習させた(Relearn)。そしてラットが全ての記憶課題の学習に要した全期間をとおして、海馬から同じマルチニューロン活動を記録し続けた。その結果、記憶課題Ⅱと記憶課題Ⅲの学習過程(Learn1とLearn2)それぞれにおいて、記憶が形成されつつある時期でのみ同期発火を示すニューロンペアが見つかり、そのペアはLearn1とLearn2で異なっていた。またそれらの同期発火は、記憶が形成された学習完成期にはほぼ消失した。まだ例数は少なく、さらにデータを集める必要があるが、現時点では次の仮説を立てている。1.海馬で一時的に作られるセル・アセンブリによって記憶が作られ、その記憶は新皮質に移されることで固定される。2.その記憶が固定されるに伴い海馬のセル・アセンブリはリセットされ、次の新しい記憶を形成する際には異なるセル・アセンブリがまた一時的に作られる。3.このような海馬のセル・アセンブリのセット・リセットにより、多様な記憶を次々形成することが可能となる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
Advances in Cognitive Neurodynamics
巻: 5 ページ: 283-290
10.1007/978-981-10-0207-6_39
Frontiers in Systems Neuroscience
巻: 9 ページ: 1-12
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120005947020
生体の科学
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Psychology
巻: 5 号: 09 ページ: 994-1000
10.4236/psych.2014.59111
Cognitive Neurodynamics
巻: (印刷中) 号: 4 ページ: 345-351
10.1007/s11571-014-9284-2
Behavioural Brain Research
巻: 263 ページ: 138-143
10.1016/j.bbr.2014.01.030
120005385890
https://www1.doshisha.ac.jp/~ysakurai/
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/~ysakurai/