公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞の核の形や大きさは、分化度や腫瘍の悪性度など、細胞の状態を反映する指標の一つとして長く利用されている。核は細胞の分裂ごとに一度崩壊し、分配され、コンパクトにまとまった染色体を包むように再形成され、その後拡大する。核の大きさの制御は、この拡大過程の制御になる。核の拡大に影響を与え得る要因として、内包するDNA量、核内輸送や核膜要素集積の効率、細胞の大きさ(細胞質の量)などが報告されているが最終的な核の大きさがどのように決まるかについての知見はまだ限られたものしかない。本研究では、マウス前核期胚は(1)細胞が球形であり間期に大きさがほぼ変化しない、(2)前核もほ球形である、(3)胚ごとの細胞、核の大きさのばつきが少ない、(4)細胞サイズの改変かが可能である、(5)単為発生、極体放出抑制、2つ以上の精子核の注入等により、細胞または核あたりの染色体数の改変が可能である、という特性を利用し、細胞の大きさ及び、細胞または核あたりの染色体の数と核の大きさとの相関を検討した。その結果、前核の大きさは、内包する染色体の量にはほとんど影響を受けず、卵の大きさ(細胞質量)が一定である場合には、2つ以上の前核が存在する場合にも、前核の総体積が常に一定となることがわかった。また雌雄の前核は拡大速度が異なり、これが雌雄前核の最終的な大きさの違いとなることを見出し、拡大速度の規定要因としてクロマチン状態に関するの2つの要素を同定した。さらに、正常な核形成の前提として後期に染色体が極へと分配されることが必要となるが、そのためには中期まで染色体腕部を中期板へと押すpolar ejection forceが分裂後期には解除される必要があり、そのしくみとしてKid/Kif22の脱リン酸化による機能切替があることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Journal of Cell Science
巻: 129 号: 19 ページ: 3609-3619
10.1242/jcs.189969
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/ohsugilab2013/kid.html