公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究はクロマチン構造が動的に変化する際に形成されることが考えられている多様なヌクレオソーム構造に着目し、その立体構造をX線結晶構造解析法により明らかにするための技術開発を目的とした。近年、動的なクロマチン構造を研究する上で、ヌクレオソームの立体構造がどのように多様に変化するのかが重要な課題となっている。これまでに数多くのヌクレオソームの結晶構造が報告されているが、いずれもRichmondらによって明らかにされたヌクレオソーム構造を元に、分子置換法によって解かれている。この方法は、解析を行っているヌクレオソームの構造が既知の構造と似ている場合には有効であるが、似ていない場合は構造を解くことができない可能性がある。そこで本年度は、既知のヌクレオソーム構造に依存せずに新規のヌクレオソーム構造を明らかにする実験方法を確立した。具体的には、ヌクレオソームにセレノメチオニン(重原子)を部位特異的に導入し、セレノメチオニンの異常散乱を利用してSAD法による構造解析を行った。まずヌクレオソームへのセレノメチオニンの導入部位を検討した。ヒストンはメチオニンの数が少ないため、ヒストンH2AとH2Bのヒストンフォールドに存在するロイシンをメチオニンに置換した点変異体を複数種類作製した。これらメチオニン点変異体ヒストンの中から、野生型ヒストンを用いた場合と同様にヌクレオソームを再構成できるものを探索した。同定したメチオニン点変異体ヒストンのメチオニンをセレノメチオニンに置き換えた重原子置換体を調製し、それを用いてヌクレオソームの再構成と結晶化を行い、その立体構造を決定した。今回行った構造解析法は、ヌクレオソームの構造が既知の構造と大きく異なる場合も構造決定が可能であることから、非対称なヌクレオソームなどを含む多様なヌクレオソーム構造をX線結晶構造解析により決定するための基盤的な技術となりうる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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