公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞内共生細菌は、自立増殖が出来ないために、宿主に利益を与え共生関係を維持する。2008年に、細胞内共生細菌であるボルバキアが、感染したショウジョウバエに、プラス鎖一本鎖RNAウイルスに対する抵抗性を付与することが報告された。ボルバキアは、垂直伝搬し自立増殖できない。したがって、この現象は、共生細菌が宿主を改変し、ウイルス感染を利用して共生細菌を保菌する個体群を維持し、共生細菌の伝搬を図る戦略と捉えることが出来る。しかしながら、この現象の分子機構は全く明らかにされていない。そこで、本研究では、共生細菌による宿主ウイルス耐性付与に関わる因子をゲノムワイドに探索した。そのために、研究代表者が確立した共生細菌によるウイルス増殖抑制を簡単に検出できるレポーターシステムを用いて、機能欠失型の遺伝学的スクリーニングと、機能獲得型の遺伝学的スクリーニングを行った。これまでに、機能欠失型の遺伝学的スクリーニングとして、標的遺伝子の発現を抑制できるRNAi系統ライブラリーの2480系統、遺伝子変異体ライブラリーの803系統を解析した。機能獲得型の遺伝学的スクリーニングとして、標的遺伝子を強制発現できる904系統の解析を行った。そして、二次スクリーニングを行い、共生細菌によるRNAウイルス抑制をキャンセルする系統として、RNAi系統ライブラリーから6系統、遺伝子変異体ライブラリーから5系統、強制発現ライブラリーから6系統を同定した。RNAi系統ライブラリーから同定した因子について、さらに解析を進めた結果、この因子は宿主内での共生細菌の増殖、あるいは共生過程に必要な因子であることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seimei/seimei_original.html