公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ヒトの腸管内には数百種類以上でおよそ100兆個にもおよぶ腸内細菌が生息しており、これら腸内細菌の集団(腸内細菌叢)は、宿主であるヒトの腸管細胞と相互作用しながら複雑な微生物社会を形成している。腸内微生物社会の恒常性維持がヒトの健康状態に寄与する一方、そのバランスの破綻が様々な疾患発症に関わることが近年の研究で明らかとなりつつある。しかしこの複雑で洗練された腸内微生物社会がどのように形成されるのか、特に腸内細菌側の因子については不明な点が多く残されていた。本研究では、腸内微生物社会形成過程の初期状態の理解を目的とし、モデル実験系として無菌マウスへのミューテーター大腸菌定着による腸内定着因子の解析を実施した。その結果、大腸菌ミューテーターゲノムに複数の変異が蓄積していたことから、これらの変異が腸内定着に有利に働くと考えられた。また腸管免疫系による腸内細菌定着制御メカニズムに迫るため、IgA産生機能を失った無菌AID欠損マウスを作製し、同様に大腸菌ミューテーターを用いて腸内定着試験を行ったところ、異なる大腸菌ミューテーターゲノムに野生型無菌マウスへ定着させた場合とは異なる特徴的な変異が蓄積していたことから、腸内微生物社会の形成には宿主腸管免疫系も重要な役割を担うことが示唆された。これらの結果は、腸内微生物社会の形成過程の理解につながるだけでなく、将来的には腸内定着因子を増強した新たなプロバイオティクスの開発にもつながる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 10件) 産業財産権 (1件)
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