公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
自己制御の指標として、従来から時間割引(時間選好)モデルの割引パラメータが使用されてきた。本研究では、時間割引の指標の中でも、より「自己制御」と直接的にかかわるとされる「時間整合性」に着目し、課題を改良した。提唱されている時間割引モデルには、大きく分けて「指数割引」と「双曲割引」がある。指数割引は、割引の割合がどの時点でも等しいため時間整合的な選択を説明する。一方、双曲割引は将来になるほど割引の割合が小さくなる。つまり、今日と明日の異時点間選択が、1年後と1年と1日の異時点間選択と結果が異なる可能性が出てくる(どちらも間隔は1日にもかかわらず)。このような選択結果は時間非整合的な選択と呼ばれる。今回は、この時間非整合的な選択を捕らえられるように、「すぐにもらえる小さい報酬」と「時間がかかる大きい報酬」のどちらかを選ぶと、どちらの報酬も待ち時間が徐々に減っていき、途中で最初に選んだ選択から変更可能な課題に改良をした。昨年度はこの課題を試験的に、小学生14名、成人80名、うつ傾向の高い大学新入生57名に実施した。今年度は健常の大学新入生66名の追加実験を実施し、これまでのデータと合わせて解析した。その結果、グループ1(少年期)はどちらのタイプ(現在・将来バイアス)の変更回数も多く、2回目の選択で反応に時間がかかり、特に変更なしの場合でも他グループよりも有意に反応時間が長い特徴が見られた。この結果は、時間認識が発達しておらず、割引価値の計算がぶれる可能性を示唆しており、今後は主観的時間を含めた割引モデルの拡張も考える必要がある。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 6 号: 1 ページ: 1-8
10.1038/srep21321
経済セミナー
巻: 679 ページ: 33-36