公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本年度は、被災地一般住民を対象とした調査を行い、東日本大震災後4年間に及ぶ、のべ14000名以上の長期縦断データベースを構築した。東日本大震災後の感情制御を含む精神的健康についての系統的文献レビューを行い、その知見を参考に2時点及び3時点データの解析・論文化、4時点データの基礎的解析を進めた。長期縦断データの解析・論文化に先行し、系統的レビューを行った。東日本大震災後、感情制御を含む精神的健康を調査し、2015年3月までに出版された研究論文を、PubMed、PsycInfoを用いて系統的に検索し、計42本の研究論文を抽出した。心的外傷後ストレス障害の有病率は、どの研究でも10%を超えていた。長期縦断研究は少数あり、心的外傷後ストレス障害は経時的に減少傾向であったが、抑うつの減少傾向を報告した研究はなかった(Ando et al., Under review)。上記レビュー結果を参考に、被災1年後と2年後の2時点縦断データの解析・論文化を進めた。2時点の両方に参加した約2200名のデータ解析の結果、感情制御不良(不安・抑うつ)は経時的な増加傾向がみられた。行動制御不良(アルコール依存傾向)も増加傾向がみられた。3時点全てに参加した約1500名の縦断データ解析の結果、被災3年後の感情制御は、被災1年後のレベルまでに回復していなかった。被災1年後の時点で感情制御不良がなく遅発性の感情制御不良を起こすリスク要因は、家屋被害の深刻さ、睡眠障害などであった。さらに、4時点全てに参加した約1200名の縦断データから、被災4年後においても、感情制御は被災1年後のレベルまで回復していないことが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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学術の動向
巻: 20 号: 7 ページ: 7_33-7_43
10.5363/tits.20.7_33
130005107563
精神神経学雑誌
巻: 116 ページ: 189-195