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ヒト記憶における主観的時間の形成の基盤となる脳内機構とその障害機序の解明

公募研究

研究領域こころの時間学 ―現在・過去・未来の起源を求めて―
研究課題/領域番号 26119512
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

配分区分補助金
審査区分 複合領域
研究機関京都大学

研究代表者

月浦 崇  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (30344112)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
研究課題ステータス 完了 (2015年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2015年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2014年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワード作話 / 記憶 / 時間 / 海馬 / 前脳基底部 / fMRI / 神経心理学 / 前頭葉
研究実績の概要

私たちは,体験した出来事の記憶を思い出す際に,たとえ昔のことであると理解していても,その出来事をまるで昨日のことのように感じることがある.このような経験的事実は,記憶における主観的な時間感覚は物理的な時間の経過とは必ずしも一致しないことを示唆している.そして,脳の損傷による健忘症患者では,記憶における主観的な時間感覚と物理的な時間との「ずれ」を正しく認識することが困難になり,「作話」と呼ばれる病態を示すことがあることが知られている.本研究では,記憶における主観的時間がどのように記憶の想起に影響を与えるのかの神経基盤を,健常者を対象としたfMRI法と,脳損傷患者を対象とした神経心理学的方法から明らかにすることを目的とした.

本年度の成果としては,主に2つの点が挙げられる.第一に,昨年度から継続して実施した脳損傷後に健忘症を呈した症例を対象とした検証から,作話症状の生起には「時間の見当識」や「注意(作業記憶)」,「言語性長期記憶」の障害が関連していることが明らかにされた.また,作話症状は虚記憶とは関連が薄いことが示された.これらの結果から,作話症状は言語性長期記憶の障害を基盤とし,それに伴って時間の状況認知にずれが生じ,それを現在の状況と照らし合わせてずれを是正することが困難になることが関与するが,必ずしも虚記憶の程度とは関連しないことが示唆された.第二に,fMRIデータの検討から,記憶における時間処理には海馬を中心とする側頭葉内側面領域と,前脳基底部領域が重要であり,それぞれが異なった役割を持っていることが示された.これらの結果から,海馬を中心とする側頭葉内側面領域は,エピソード記憶を構成する様々な要素を「つなぐ」役割を担っているのに対し,前頭基底部領域は時系列の中で連続しているエピソード記憶を「区別する」役割を担っていることが示唆された.

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

報告書

(2件)
  • 2015 実績報告書
  • 2014 実績報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2016 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Disturbance of time orientation, attention, and verbal memory in amnesic patients with confabulation2016

    • 著者名/発表者名
      Shingaki H., Park P., Ueda K., Murai T., Tsukiura T.
    • 雑誌名

      Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology

      巻: 38 号: 2 ページ: 171-182

    • DOI

      10.1080/13803395.2015.1094027

    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 内側側頭葉の機能は:記憶である-過去を思い出すこと,未来を思考することの脳内機構-2015

    • 著者名/発表者名
      朴 白順,月浦 崇
    • 雑誌名

      神経内科

      巻: 83 ページ: 475-479

    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [雑誌論文] 記憶における時間文脈の処理を担う脳内機構とその障害2015

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 雑誌名

      神経治療学

      巻: 32 ページ: 373-377

    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [学会発表] Williams症候群における顔記憶と社会的認知特性に関する検討2015

    • 著者名/発表者名
      中道和輝,粟屋智就,加藤竹雄,富和清隆,月浦 崇
    • 学会等名
      第39回日本高次脳機能障害学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-12-10
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [学会発表] Neuropsychologial and functional neuroimaging investigations of confabulation and time in memory2015

    • 著者名/発表者名
      Tsukiura T.
    • 学会等名
      International Symposium on the Science of Mental Time
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-09-12
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 自伝的記憶の想起における時間判断に影響を及ぼす要因の検討2015

    • 著者名/発表者名
      朴 白順,中村あゆみ,上田敬太,村井俊哉,月浦 崇
    • 学会等名
      第39回日本神経心理学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-09-10
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [学会発表] 心理的時間の処理に関連する前頭葉機能と記憶機能:健常高齢者に対する検討2015

    • 著者名/発表者名
      中村あゆみ,朴 白順,上田敬太,村井俊哉,月浦 崇
    • 学会等名
      第39回日本神経心理学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-09-10
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [学会発表] Williams症候群者4症例における社会的認知特性に関する検討2015

    • 著者名/発表者名
      中道和輝,粟屋智就,加藤竹雄,富和清隆,月浦 崇
    • 学会等名
      第39回日本神経心理学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-09-10
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [学会発表] 記憶における時間文脈の処理を担う脳内機構とその障害2014

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 学会等名
      第32回日本神経治療学会総会シンポジウム「『こころの時間学』から未来の神経治療へ」
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-20 – 2014-11-22
    • 関連する報告書
      2014 実績報告書
  • [学会発表] 健忘症患者における作話現象に関する検討2014

    • 著者名/発表者名
      新垣ほのか,朴 白順,上田敬太,村井俊哉,月浦 崇
    • 学会等名
      第38回日本神経心理学会総会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      2014-09-26 – 2014-09-27
    • 関連する報告書
      2014 実績報告書
  • [学会発表] 記憶の中の時間-健忘症例における主観的な時間2014

    • 著者名/発表者名
      朴 白順
    • 学会等名
      第78回日本心理学会大会シンポジウム「こころの時間学:神経心理学的アプローチ」
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12
    • 関連する報告書
      2014 実績報告書
  • [図書] 記憶における脳損傷や加齢の影響,榊原洋一・米田英嗣(編)「脳の発達科学(発達科学ハンドブック8)」2015

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 総ページ数
      317
    • 出版者
      新曜社,東京
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [図書] 顔と名前の記憶,原島博・山口真美・金沢創他(編)「顔の百科事典」2015

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 総ページ数
      640
    • 出版者
      丸善出版,東京
    • 関連する報告書
      2015 実績報告書
  • [図書] 神経画像法,下山晴彦他(編)「心理学辞典」2014

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 総ページ数
      1088
    • 出版者
      誠心書房,東京
    • 関連する報告書
      2014 実績報告書
  • [図書] 神経科学的研究法(2):神経画像法,下山晴彦他(編)「心理学辞典」2014

    • 著者名/発表者名
      月浦 崇
    • 総ページ数
      1088
    • 出版者
      誠心書房,東京
    • 関連する報告書
      2014 実績報告書
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      http://www.memory.jinkan.kyoto-u.ac.jp/index.html

    • 関連する報告書
      2015 実績報告書 2014 実績報告書

URL: 

公開日: 2014-04-04   更新日: 2018-03-28  

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