研究実績の概要 |
本研究課題は、〈可能性様相を経た時間認識の分析〉と〈分岐表象における日常概念の分析〉の二本の柱からなり、平成27年度および平成28年度(平成27年度科学研究費の一部繰越の期間)には、博士学位論文と単著の著書二冊にて、その研究成果を発表した。以下に書誌情報と概要を記す。 [博士学位論文]青山拓央, 「分岐する時間:自由意志の哲学」, 慶應義塾大学, 2016. 2.[著書1]青山拓央, 『時間と自由意志:自由は存在するか』, 筑摩書房, 2016. 11.[著書2]青山拓央, 『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』, 太田出版, 2016. 9. [博士学位論文概要]時間分岐的様相と自由意志・責任帰属との関係について、多角的な考察がなされている。現代哲学において標準的な「両立論的自由/非両立論的自由」の二分を詳細に論じたのち、後半の章ではこの二分を超えた新たな自由意志論が展開される。[著書1概要]博士学位論文に加筆したものであり、とくに序論にて、哲学史上の自由意志論に関する解説が補われている。また、フランクファート・ケース(分析哲学にて著名な自由意志論の事例)についての新たな分析結果も追記されている。[著書2概要]著書1での知見を背景としつつ、時間分岐的様相と価値認識との関係を、「幸福」の多義性分析を通じて明らかにしたものである(同書は複数の新聞書評に取り上げられた)。 このほか平成27-28年度には、ワークショップや一般向け文章の寄稿などを通して、本研究成果の一部を哲学研究者以外の方々にも発信した。
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