公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では,「心の未来性」のメカニズムを「心・脳・身体」という三者関係のダイナミクスの中で捉える枠組みを重視し,これまで見落とされがちであった身体機能である自律神経活動に焦点を当てた.具体的には,自律神経活動とそれに伴う身体状態の変化の感覚である「内受容感覚」に焦点を当てたが,今年度は,以下の課題を用いた実験を実施し,「心の未来性」という視点から時間処理メカニズムの行動的・神経科学的解明に挑んだ.我々は日常生活において,しばしば過去あるいは未来の,ポジティブあるいはネガティブな経験について考えるが,この神経メカニズムについては十分に明らかにされていない.本研究では,参加者に,過去/未来,ポジティブ/ネガティブな経験について考えるよう求め,その時間的・感情的方向性に基づいて思考の脳内メカニズムを調べた.本研究は時間解像度が重要な鍵を握るため,事象関連脳電位(ERP)および身体反応を反映する心拍誘導電位(HEP)が計測された.その結果,ERPについては,初期および後期成分の双方で,思考していた内容と提示される文が不一致のときに,より強いネガティビティが観測された.また,時間情報呈示に伴うERPを解析した結果,近未来語呈示時に,前頭前野における早期成分の平均振幅が,状態不安得点と負の相関関係にあることが示された.さらに,時間情報呈示時のHEPを解析した結果,ネガティブ思考をするときの平均振幅が,特性不安得点と相関があることが示された.これらの結果は,人の思考が比較的早い段階で,過去や未来へと方向づけられているということ,特性不安の高い個人においては内蔵の活動からのフィードバックが思考の方向付けに利用されている可能性があることなどが示唆された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
PLOS ONE
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