公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
近年,測定技術の向上により,遺伝子発現,タンパク質,代謝などの多階層を網羅的に同条件で測定しやすい環境が整って来ており,それら多階層データの解析方法についても需要が増している.特に,分子種間の相互作用ネットワークを知ることは,生命現象の理解の上で重要であると考えられている.網羅的な測定では,一度に同条件で多数の分子種を測定できる利点があるが,階層ごとに程度の違いはあるものの現状では欠損値が発生しやすいという問題もある.従来は,欠損値に対して,比較的アドホックな処理がなされる傾向があったが,欠損値と相互作用ネットワークの間にはお互いからみたときの得られやすさの関連があるため,同時に処理するのがよいと考えられる.本研究では,欠損あり多階層オミクスデータへの適用を想定した欠損値と相互作用ネットワークを同時に推定する方法を開発し,人工データによる性能評価を数値実験によって行った.分子種間相互作用ネットワークは,偏相関によって近似的に推定する.偏相関による相互作用の推定は,間接的な相互作用の推定となる可能性が高いが,オミクスデータの現状では直接的な相互作用の推定は難しいと考え,比較的シンプルな偏相関を用いることにした.直接的な相互作用ではなく間接的であっても,生命現象の理解に役立つ可能性が十分にあると考えている.分子種間の相互作用は,生化学反応的な知見から密になるとは考えにくく,相互作用ネットワークはエッジの少ない疎な構造を持つと考えられる.また,経験的に分子種の挙動はクラスタを形成して類似していることが多く,データ行列は低ランクに近いことがわかっている.開発した手法は,人工データによって評価し,手法の有効性を検証した.現在,実データを用いた解析に取り組んでおり,生物学的に新たな知見が得られれば実験によって検証したいと考えている.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
PLOS ONE
巻: 10 号: 12 ページ: e0143880-e0143880
10.1371/journal.pone.0143880
Cell Rep.
巻: 8 号: 4 ページ: 1171-1183
10.1016/j.celrep.2014.07.021
120005537752