配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2015年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2014年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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研究実績の概要 |
本年度においては、前年度に引き続いて、2つの相反する刺激に対する線虫の行動選択を担う神経回路の活動を4Dカルシウムイメージングにより計測・可視化する技術の確立とイメージングデータの解析を進めた。前年度の研究によって、FRET型蛍光カルシウムプローブと細胞位置を精度良く捉えるための赤色蛍光タンパク質の同時3波長を立体的且つ高速に撮像することで全中枢神経系の計測が可能となっている。本年度は、これを用いて刺激を加えた実験を行った結果、誘引物質(ジアセチル)と忌避物質(銅イオン)の刺激に対して、線虫の全中枢神経において少なくとも8個程度のニューロンが明確な応答を示すことが明らかになった。これらが線虫における行動選択を担う各ニューロン(AWA, AIA, ASH, AIB)なのか、あるいは別のニューロンなのか調べるために、各ニューロン特異的に発現するプロモータを用いて蛍光カルシウムプローブを発現するトランスジェニックの作製を試みた。しかしながら、4つの異なるプロモーターを用いて複数ニューロンに蛍光カルシウムプローブを発現させると、発現が不安定になり、安定的にカルシウムプローブを発現するトランスジェニック線虫株の作製は技術的に困難であることがわかった。この問題を解決するために、蛍光カルシウムプローブを全神経で発現するH20プロモーターを用いて発現させ、行動選択を担う4つのニューロンには、カルシウムイメージングに用いる蛍光(CFP, YFP, mCherry)と区別することができる近赤外蛍光タンパク質のTagRFP675を発現させることで、これらニューロンの活動を計測する実験系の確立を進めた。その結果、TagRFP675を複数ニューロンに発現させたニューロンをイメージング後に同定する手法を確立した。この実験系を用いることで、行動選択を担う各ニューロンに加え、その下流のニューロン等をイメージング後に同定することが可能になった。
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