公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
動物は、環境の変化に適合し、自らの行動を柔軟に転換する。この行動柔軟性には、前頭前野皮質と線条体を連関する神経回路が重要な役割を持ち、この回路の機能異常は、統合失調症などのさまざまな精神・神経疾患の病態に深く関与する。我々は、線条体コリン作動性ニューロンは行動柔軟性(逆転学習・消去学習)の抑制を媒介する働きを持つことを報告してきた。本研究では、short haipin RNA (shRNA) の技術を利用して、線条体に発現するムスカリン性受容体サブタイプ(M1/M4受容体)の機能を抑制し、行動柔軟性に与える影響を解析した。レンチウイルスベクターを用いてM4 shRNAを線条体(背内側領域)に発現させることにより、空間認識に基づく逆転学習の亢進が誘導され、アセチルコリンによる行動柔軟性の抑制はM4受容体によって媒介されることが明らかとなった。また、M4 受容体の線条体内での細胞タイプにおける発現パターンを解析するために、直接路と間接路を構成するmedium spiny neuronのマーカーとしてドーパミンD1およびD2受容体を用いて、どちらのmedium spiny neuronに局在するかを解析した。M4 受容体は、主に、D1受容体陽性細胞である直接路に局在することが明らかとなった。また、M4 受容体はコリン作動性介在ニューロン自身にも局在し、自己受容体として機能していることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Nat. Commun.
巻: 5 号: 1 ページ: 3778-3778
10.1038/ncomms4778
BMC Neuroscience 2014
巻: 15 号: 1 ページ: 55-55
10.1186/1471-2202-15-55