先史時代の考古学は、現在大きな曲がり角に来ている。それは、従来の純粋考古学的研究方法による成果が、自然科学的分析結果によって修正を余儀なくされる事態が多発している現状からも明らかである。今日、純粋な考古学的手法のみでは、もはや過去の実像に迫ることは不可能であると言ってよい。この危機を脱するためには、考古学そのものが従来のような文系学問領域からシフトして、新たな学問領域へと生まれ変わる必要がある。そこで本研究領域では、日本において、特に人骨・動植物遺存体などの出土資料を主たる対象として、現在の考古学的手法に、年代測定、同位体分析、ゲノム分析などの自然科学的な手法を織り交ぜた総合的学問領域であるintegrative bioarchaeologyの構築を提唱する。
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