アシンメトリが彩る量子物質の可視化・設計・創出

2023 年度 審査結果の所見

• 研究領域 (略称): アシンメトリ量子
• 研究課題/領域番号: 23A202
• 研究種目: 学術変革領域研究(A)
• 領域代表者: 鬼丸 孝博 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (50444708)
• 研究期間 (年度): 2023-04-01 – 2028-03-31

研究の概要

本研究では、非対称性 (アシンメトリ) によって生じる電気磁気効果の理解を通じて、革新的な機能物性を開拓する。近年飛躍的な進歩を遂げている量子ビームと最先端の精密測定手法を用いて多様な秩序を可視化することで、多彩な交差相関を理解する。物質合成には、日本に伝統的なものつくり技術に加えて、最先端の微細加工技術を組み合せる。さらなる物質開発や機能物性の開拓には、マテリアルズ・インフォマティクスの手法も取り入れる。固体結晶で明らかになった新機能は、分子クラスターや人工物質へと広く適用でき、物質機能創出の変革につながる。「アシンメトリ量子物質」における複合自由度を顕在化し、先駆的な機能物性に結びつけるのが本研究の目的である。

審査結果の所見の概要

本研究領域は、対称性が破れたアシンメトリ量子物質を出発点として、そこから発現する新現象・新機能を探索しようという斬新で独創的な発想に基づく研究領域である。研究組織は、十分な実績を有する若手中心のバランスの取れた研究者により構成されており、確実な成果が期待できる。アシンメトリ量子物質の可視化・設計・創出という三つの役割を明確に設定し、計画研究間の連携する仕組みも工夫されたものになっている。また、研究領域内外の連携や共同研究、若手の海外派遣や若手スクールなど若手研究者のキャリア形成に有益な試みを取り入れている点など、領域マネジメント体制も工夫されている。