ブラックホールの強大な重力が生み出す重力エネルギーは、ビッグバン以降、宇宙の主たるエネルギー源であり、ブラックホールの成長、物質の起源である元素の合成、人類未踏の膨大なエネルギーを持つ超高エネルギー宇宙線原子核の生成などを駆動する、宇宙の多様性の源である。しかし、その現場は周囲の高密度物質に隠され、こうした極限宇宙現象の起源は大きな謎である。本提案では、近年圧倒的に進展した、透過力に優れるニュートリノ・重力波宇宙観測と伝統的な電磁波観測を融合するマルチメッセンジャー観測を推進し、強大な重力場が作り出す超高密度火の玉プラズマの成長過程から、元素合成・高エネルギー放射に至る、重力エネルギーの最終運命を統一的に理解する。なぜ宇宙はこれほど多様で躍動的なのか、異なる専門的背景を持つ多様な研究者集団による新しい研究分野から解き明かす。
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