近年、量子力学的重ね合わせを利用した指数計算加速が可能な量子コンピュータが近年急速に発展し、量子多体計算への応用が期待されている。もし、多数の電子が量子力学的に強くもつれ合うことで創発する物性を定量的に予測可能になれば、物性物理、化学に渡る基礎学理上の未解決問題や、人類が直面するエネルギー・環境問題の解決へのキーになり得る。しかし、近未来に実現されうる量子コンピュータには強いリソース制限があり、既存の量子アルゴリズムだけでは定量的物性予測は実現し得ない。本研究領域では、量子・古典コンピュータ双方の能力を最大限引き出すように、物性物理・化学・量子情報における情報圧縮法を融合した新しい第一原理計算学理の構築と、その核となる融合コミュニティ形成を行う。実証計算を通してその精度・計算性能を確立し、データ駆動科学・実験・応用数学・計算物理を含む領域拡大へ繋げる。
|