生体分子の凝集は,試験管内では単量体構造に基づいた鋳型依存的なメカニズムで説明される.しかし,生体環境では試験管内と異なり,共局在する他の生体分子と共凝集することが多い.現在,神経変性疾患においてアミロイドの凝集体を標的とした創薬戦略が難航している一因として,これらの不一致が挙げられる.本領域メンバーは,毒性本体として不均一な凝集体のオリゴマーが準安定(メタステーブル)であることから,他の生体分子と共凝集することで超分子挙動を示すことを,これまでに明らかにした.本領域では,これらの超分子を「メタアグリゲート」と新たに定義し,異種アミロイド,核酸,タンパク質とのそれぞれの相互作用を俯瞰視野(メタ視点)で解析することで,形成機構および病態機序に関する4課題に取り組む.特に,1分子レベルで構造と動態を同時に解析できる高速原子間力顕微鏡の技術革新を介して,世界初の神経変性疾患の根本治療を目指す.
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