国際活動支援班
主な活動は以下の3点である。1:研究グループの存在と成果を海外発信するためには、英語圏の研究者、学生にとって読みやすいHPが必要である。HPのビジュアルはもちろんだが、読みやすい文章であることが必須となる。今回、元発生学者で、現在ヨーロッパでサイエンスライターをしているロニー・リーマンス氏に来日していただき、各計画班員へにインタビューと、海外向きの紹介記事を書いてもらいHPに掲載することができた。2:河西通博士をHarvard Medical School のSean Megason研究室へ派遣し、ゼブラフィッシュ胚における組織の3次元構造の発生機構の研究を共同研究で行っている。神経管は神経板という1枚のシートが折りたたまれることで形成されると考えられてきたが、体幹後方では発生過程で神経板が形成されないためにこのモデルが直接当てはまらず、3次元的な管構造がどのように形成されるのか未知の点が多い。ゼブラフィッシュ胚の尾部末端における神経管の発生過程をin toto imagingにより経時観察したところ、尾部後方の間充織が収斂伸長運動をしながら管構造をつくること、および底板細胞がその他の神経管細胞に対してスライド運動していることが分かった。現在、細胞レベルでの挙動を定量的に解析している。In toto imagingなどの観測技術を班員と共有予定である。3:11月28、29日にオーストリアのIST Austria(オーストリアの国立科学技術研究所)と合同で、3D形態形成に関するシンポジウムを開催し、同時に、今後の技術協力体制の拡大に関して話し合いを行った。ISTは、多くのハイテク技術を開発している世界有数の研究施設である。ISTの生命科学部門長であるハイゼンベルグ氏は公募班員の堀田氏と共同研究を継続している。
2: おおむね順調に進展している
実際に班の活動を開始してから、約1年半が経過したが、とりあえず、最初に計画したことは予定通り終えることができた、という状態である。海外との交流の拡大事業となると、形式的には機関と機関の交流を作ることが大事であるが、実質的には、個々の研究者間の交流がなければ始まらない。そのため、時間をかけて、研究交流が増えるための仕掛けを行っていく必要があると考えている。(1)のHPの記事掲載は、そのための一つの方法である。時間はかかるだろうが、ネイティブの研究者が読みやすいサイトは、交流の拡大には必須である。まだまだ、サイト自体の作りこみやアップデート、定期的に更新される読み物の掲載など、課題は多いが、支援期間中に、充実したものに育てていきたい。(2、4)の海外派遣、招聘は、今後も継続して行うつもりである。理想的には、海外の研究者に長期間滞在してもらいたいが、現在、適当な候補者が見つかっていない。今後も候補者探しを続けたい。(3)海外の有力研究機関との交流は重要であるため、今後も、積極的に行っていきたい。これも、交流が盛んになるには、個々の班員にとって、共同研究のニーズをt繰り出す必要があり、そのためには、互いに翌知り合うことが必須である。昨年のISTとの交流では、主に計画班員が中心となっていたが、もっと公募班員にも拡大して行う必要があると考える。29年度に行う、UCIrvineとの交流においては、公募班員、特に若手の研究者を多く現地に送るつもりである。
0:コスタリカ大学の昆虫学研究室とは、さらに緊密な関係を築きたいと考えている。具体的には、研究者の長期派遣、あるいは、コスタリカ大研究者の国内研究施設への受け入れができれば理想的である。1:海外向けHPの充実のために、以下の改良を行いたい*公募班員(元公募班員も含む)の英語版紹介記事の掲載*各班員の研究内容・成果が、リアルタイムで表示*研究内容のビデオ紹介記事の作成・掲載2:海外派遣に関しては、毎年、1~2名を半年~1年派遣するのが一番ふさわしいと考えている。派遣者(と受け入れ先)ごとに都合が異なるため、なかなか予定通りには進まないが、事前に、先方の機関と打ち合わせることで、派遣者のローテーションを維持したいと考えている。3:29年度は、発生学者として著名なKen Cho氏を仲介にして、UCIrvineとの交流を行う予定である。今回は、公募班員をできるだけ多く派遣する予定である。30年以降も、シンガポール大学、ヘルシンキ大学などを予定している。4:現在、日本の科学技術研究の地位低下が憂慮されているが、海外で頑張っている日本人研究者の助けになるような事業が行えれば、国際交流の面からも極めて有効な活動になると考える。もちろん、単独の新学術領域班での事業では限界があるが、例えば、他の新学術領域との共同事業を行えば、もっと大きな規模での事業を行える可能性があるので、現在、他班の責任者の何人かと話し合いを持っている。
未使用の予算が残っている主な原因は、初年度の交付決定が年度末に近かったためである。海外との連携が必要なプロジェクトであるため、海外との打ち合わせ、日程の確保等にある程度時間がかかるのはいかんともしがたい。特に、各年度に一回ずつ開催予定との海外機関との協力イベントが、初年度には行えなかったのが大きい。次年度は計画通りに消化でき、ある程度繰越金は減少している。残りの3年で、有効に使ってプロジェクトを完成したい。
29年度の海外機関との交流は、UC Irvineとの共同シンポジウムを予定しているが、昨年度よりも、規模を大きくして行う予定で、昨年度の実績より100~150万円多めにかかる予定である。残り3年で同規模のシンポジウムを開催することで、繰り越し分の消化はスムーズに行えると考えている。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 11件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 7件、 招待講演 9件) 図書 (2件) 備考 (2件)
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