研究領域 | ハイブリッド量子科学 |
研究課題/領域番号 |
15K21727
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平山 祥郎 東北大学, 理学研究科, 教授 (20393754)
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研究分担者 |
石橋 幸治 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (30211048)
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 上席特別研究員 (60374071)
根本 香絵 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (80370104)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | ナノマイクロ量子系 / 新機能量子材料 / 量子効果 / 量子トランスデューサ |
研究実績の概要 |
2018年度もこれまでに引き続き、新学術領域「ハイブリッド量子科学」と密に連絡を取りつつハイブリッド量子科学に関連する国際共同研究を加速した。特に重要なアクティビティとして、2018年10月1、2日の日程でフランスパリにおいてEcole Normale Superieure の協力を得て、France-Japan Bilateral Workshop on Hybrid Quantum Systemsを開催し、さらに年度途中の追加の国際ワークショップとして、領域会議を沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催するのに合わせて、2019年1月8日にInternational Workshop on Hybrid Quantum SystemsをOISTで開催した。これらの会議を通して海外からこの分野で活発に研究を進める研究者を招聘し、我々のアクティビティのアピールと国際共同研究の推進に努めた。外国からの招聘も大変活発に行われ、ロイヤルメルボルン大学のAndrew Greentree教授、トロント大のAmr S. Helmy教授がそれぞれNIIならびに東大を訪問し、アーヘン工科大の博士課程学生が2回理研を訪問するなど、クイーズランド大、パデュー大、サウザンプトン大、コロラド大からも博士課程の学生が理研、NII、OIST、東北大などを訪問し共同研究を推進するとともに若手の交流に貢献した。さらに、研究員、ポスドクの交流も活発に行われ、カナダNRCやロシアRzhanov Institute of Semiconductor Physicsの研究員がNTTや東京理科大を訪問し共同研究を推進した。なお、新学術領域で雇用している事業支援スタッフの経費の一部を国際活動支援基金で負担することで、国際共同支援基金の活動も積極的にサポートしてもらうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際インターンシップに関して、特にボトムアップ的な派遣については世界情勢の不安定化の影響もあるのか、若手研究者が慎重になる状況がみられるなど若干の遅れが生じていが、外国からの受け入れの方は大変活発に行われた。具体的には、ロイヤルメルボルン大学のAndrew Greentree教授、トロント大のAmr S. Helmy教授がそれぞれNIIならびに東大を訪問し、アーヘン工科、クイーズランド大、パデュー大、サウザンプトン大、コロラド大などの博士課程学生が数カ月の長期滞在も含め、理研、NII、OIST、東北大などを訪問し共同研究を推進するとともに若手の交流に貢献した。さらに、研究員、ポスドクの交流も活発に行われ、カナダ、フランス、ロシアの研究員が東京理科大、OIST、NTTをやはり数カ月間訪問し共同研究を推進し、国際共同論文などに結び付けた。外国からの訪問者が多いことは我々のプロジェクトのレベルが高く、また、対外的なアピールが適切に行われていることを示している。さらに、国際会議として、France-Japan Bilateral Workshop on Hybrid Quantum Systemsを10月にパリで開催し、さらにOISTの協力を得てInternational Workshop on Hybrid Quantum Systemsを恩納(沖縄)で開催した。当初国際会議はパリ開催のみを計画していたが、当初計画を超える会議を開催することができ、国際交流の促進、我々のプロジェクトの成果のアピールができたことは大変有意義であった。さらに次の国際会議を2019年6月にカナダオタワで開催すべく、具体的な準備に着手している。これらの進捗は、凸凹はあるものの、平均で当初の計画を満たしており、総合的に判断して、「概ね順調に進展している。」と自己判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本プロジェクトの最後の年になるので、引き続き新学術領域「ハイブリッド量子科学」と密に連絡を取りながら、当初計画した研究活動を推進するとともに、当初予定をさらに増強する形で成果のアピール、さらには国際共同研究を促進するための国際会議を開催する。具体的には、すでに準備を開始しているカナダでの国際会議をオタワ大学、NRCカナダの研究者と共同でオタワ大学において開催する。カナダは政府を上げて日本との科学技術交流を促進する方向を打ち出しており、今回のオタワでの会議には在カナダ日本大使館も協力して頂ける予定である。さらに、2019年度は新学術領域の最終年度になることから、本新学術領域の成果のアピールとより一層の国際共同研究の加速を目指して日本での第2回目の国際会議を2019年12月に松江で開催する方向で調整している。これに併せて、第2回目の国際諮問委員会を開催し、新学術領域プロジェクトの国際的な観点から見た最終評価をして頂く予定である。少し遅れ気味なものにボトムアップ的な国際インターンシップ活動があるが、2019年には大学院学生の海外派遣が計画されており、優れた海外研究者の受け入れも引き続き積極的に進める予定である。具体的には、電子・スピン計画研究ではオクラホマ大、北京大、NRCカナダ、IIT ボンベイ、フォトン計画研究ではエコールノルマル、フォノン計画研究ではポール・ドルーデ研究所、アールト大、理論計画研究ではクイーズランド大、レーゲンスブルグ大、ウルム大などとボトムアップ的な交流を進める。特に国内で若手の活動を活性化していることに対応して、若手の交流を促進する。なお、新学術領域で雇用している事業支援スタッフの経費の一部を引き続き国際活動支援基金で負担することで、国際共同支援基金の活動も積極的にサポートしてもらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:国際インターンシップに関して若干の遅れが生じている。この遅れは、2019年度に予定されている博士課程学生の外国への派遣や外国の有力研究機関からの研究者、学生の受け入れの計画で取り戻す予定であり、このために次年度使用額が生じている。さらに、海外での成果のアピールと国際共同研究に向けた国際会議をカナダでも行うことを2019年6月に計画しているが、この会議は2018年度に企画したものの当初予定にはない国際会議であり、この会議をきちんと開催するためにも予算を繰り越した。 今後の使用計画:すでに述べたように2019年6月26日、27日の予定でオタワ大学とNRCカナダと共同でCanada-Japan workshop on Hybrid Quantum Systemsを開催する予定であり、さらに、2019年度は新学術領域の最後の年であり、全チームの成果の国際的なアピールも兼ねたInternational Symposium on Hybrid Quantum Systems 2019 (HQS2019) を2019年12月1日から5日に松江で開催する予定である。さらに、博士課程学生の外国への派遣や外国の有力研究機関からの研究者、学生の受け入れと共同研究の試みもこれまで以上に推進する予定であり、2019年度の予算の執行計画はすでに100%決定している。
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