研究領域 | 動的クロマチン構造と機能 |
研究課題/領域番号 |
15K21730
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
胡桃坂 仁志 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80300870)
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研究分担者 |
木村 宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30241392)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2018-03-31
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キーワード | 染色体構築・機能・分配 / 遺伝情報複製・再編 / ゲノム多様性 / ゲノム進化・再編 / ゲノム機能 / 活性発現の分子機構 / 生体高分子構造・機能 / 構造活性相関 |
研究実績の概要 |
本領域研究は、クロマチン動構造の国際共同研究ネットワークを形成することで、世界的な視野を持った研究チームを編成してクロマチン研究を遂行すること目的としている。本年度では、コロラド大学、コロラド州立大学らの研究者と共同でColorado Chromatin Meetingを開催し、本領域から胡桃坂、大川、木村、佐藤、河野、原田を派遣して、エピジェネティクス研究の最新の情報の交換と研究発表、及び共同研究の打ち合わせを行った。 これにより、木村とLuger教授(コロラド大学)を代表者として、日米国際共同研究教育パートナーシッププログラム(PIRE Program)への予備申請を米国にて行い、本申請への許諾を得た。また、スイスで、Japan-Swiss Symposium, Chromatin Structure and Dynamicsをフリードリッヒ・ミーシャ研究所と共同で開催し、胡桃坂、原田、平岡、菅澤、木村、佐藤および若手研究者3名を派遣し、本領域研究者とスイスの研究者との、国際共同研究ネットワークの構築を行った。 さらに中国、蘇州で開催されたCold Spring Harbor Asia Conference, Chromatin, Epigenetics & Transcriptionに胡桃坂が招待公演者として参加するとともに、若手研究者1名を派遣し、クロマチンによる転写制御機構の最新の知見を取得と研究発表を行った。また、スイスで開催されたGordon Research Conference, Chromatin Structure & Functionに河野研究室の李を派遣、マサチューセッツで開催されたWorkshop on the Molecular and Physical Biology of Chromosomesに平岡を派遣し、情報交換と発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の実施計画1)-4)に関しての実施内容を報告する。1)領域関係者の海外セミナーと共同研究に関して、領域代表である胡桃坂が米国NIEHSやウィーン大学にて招待セミナーを行った他、領域研究者である河野がオハイオ州立大学にて、セミナーおよび共同研究の打ち合わせを行った。また、領域代表である胡桃坂が若手研究者とともに、フランスのグルノーブル大学を訪問し、共同研究の打ち合わせと研究の遂行を行った。領域研究者である山縣と木村は、Maria-Elena Torres Padilla博士(ヘルムホルツセンター・ミュンヘン)と初期胚のクロマチン動態に関する共同研究の打ち合わせ、およびSolovei博士(ミュンヘン大)とのヘテロクロマチン形成に関する研究打ち合わせを行なった。また、2017年度にミュンヘンでヘルムホルツセンターと新学術領域の合同シンポジウムを開催する計画を練った。2)国際的な技術指導に関しては、領域研究者である木村がFabLEMの講習会を2017年3月に実施した。Bystricky博士(ツールーズ第三大学)の大学院生を1ヶ月間受入れ、FabLEM法やmintbodyの使用法についての講習を行った。また、その際に、徳永の研究室で1分子計測も行った。この共同研究により、単一遺伝子座の転写活性化の計測系の開発に目途を立てることができた。3)領域内の若手研究者の海外派遣に関しては、領域研究を行う若手研究者を、中国、スイスに計2回派遣し、新たな情報の取得と発表を行った。4)海外からの共同研究者の招聘に関しては、カンザス大学の東義明博士を早稲田大学に招聘した。これらの研究成果から、領域研究者の国際ネットワークの構築が、当初の予定を大きく上回る規模で行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
クロマチン動構造の国際共同研究ネットワークを形成し、世界規模でのクロマチン研究の発展のために、今後も1)領域関係者の海外派遣と共同研究、2)国際的な技術指導、3)領域内の若手研究者の海外派遣、そして4)海外からの共同研究者の招聘、を中心に展開する。すでに国際共同研究を行っている海外研究者に対しては、相互の技術支援を行うことで、共同研究の相乗効果を得られるように支援を推進する。さらに、世界の各地で開催される国際会議への参加を積極的に支援することで、多くの研究者との共同研究のためのネットワークを構築し、新たなブレークスルーを引き起こす国際共同研究体制の構築を目指す。また、領域内若手研究者の海外研究室への派遣を継続して積極的に行い、若手研究者の国際的な育成を行う。そして、以上の推進方策から得られた最新の研究情報や国際ネットワークを領域内研究者で共有し、効率的かつ革新的な国際共同研究を展開することを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の活動において国際ミーティングの開催と研究者の海外派遣を行った。当初は全ての予算を国際支援班の経費にて支出する予定であったが、開催国(アメリカおよびスイス)からの支援を得られたこと、派遣予定であった研究者が都合上次年度に延期となったことなどにより、予定よりも経費を節減することができた。特筆すべき点としては、国際ミーティングの開催によって、当該領域研究の国際ネットワークの構築は爆発的に進展した。第3回の国際ミーティングを本年度行うためには、日程上困難であったため、第3回のミュンヘン(ドイツ)での国際ミーティングは次年度に開催することとして、そのための経費を次年度に繰り越すこととした。また、本領域の木村、斉藤、田代(公募代表)がInternational organizerを務める4D Nucleome meetingの開催も次年度に延期となったため、その派遣経費を繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、第3回の国際ミーティングをミュンヘン(ドイツ)にて開催する。そのための経費、また、4D Nucleome meeting(5月にポーランド、Krakowで開催)への派遣費用として、本年度繰越分を当てる。また繰越分をもって、本年度に海外へ派遣の予定であった若手研究者を、次年度に派遣する。
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