研究領域 | J-Physics:多極子伝導系の物理 |
研究課題/領域番号 |
15K21732
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
播磨 尚朝 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50211496)
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研究分担者 |
網塚 浩 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40212576)
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 教授 (70362431)
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30359541)
野原 実 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (70272531)
石田 憲二 京都大学, 理学研究科, 教授 (90243196)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | J-Physics / 多極子伝導系 / スピン軌道結合 / 国際ネットワーク / 若手育成 |
研究実績の概要 |
国際ネットワークの形成のために、海外の研究機関十の間に若手研究者の相互派遣を行っている。昨年度から引き続きアメリカとチェコに滞在した2名に加えて、ドイツに2名、フランスに1名、アメリカに1名、チェコに1名の派遣を行った。派遣する若手研究者に対しては、申請書に基づいて承認したのち出発前に面接を行い、研究テーマや海外での研究活動について助言を行った。また、派遣する若手研究者が大学院生の場合は、派遣中に指導教員も滞在先に派遣し、共同研究の強化に努めた。さらに、7月にアメリカのボルチモアで開催された結晶合成サマースクールに大学院生と岡山大の准教授の計2名を派遣した。 海外からはチェコからの2名の若手研究者の招へいを行い、国内の3ヶ所の大学を訪問し研究交流するとともに、日本物理学会での講演も行った。また、H29年度に招へいを予定しているCNRS-Grenobleの学生の面接も行った。 国際共同研究の推進と総括班で購入した共同利用機器の利用促進を兼ねて、4月に国際ワークショップ"J-Physics: Mini International Workshop: Physics of Strongly Correlated Electron System under Extreme Conditions"を神戸大学で開催した。海外からは、CEA-GrenobleのJ. Flouquet 博士、香港大のK. Goh博士、さらにドレスデンのMax Plank研究所で研究をしている 安岡弘志東大名誉教授が参加した。日本からは兵庫県立大、岡山大、島根大、大阪大などの領域外の研究者も招待して、研究交流を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに5名の派遣と2名の招へいがあり順調に国際ネットワークの形成が行われている。領域外の研究室に所属する大学院生から領域内で作成された試料を用いた課題で派遣を希望する例もあり、ネットワーク形成の裾野は拡がりを見せている。派遣した学生は、報告書を提出した後も引き続き共同研究を継続し、国際共同研究ネットワークの形成に寄与している。特に以下の様に予想以上の展開を見せている例もある。チェコに滞在した学生は、その後、研究をさらに発展させるために引き続き別予算で滞在し研究を継続している。ドイツに滞在したD3の学生は、海外での研究経験も活かして、任期なしの大学でのポストを得ている。アメリカに滞在した学生は学位取得後に海外での研究を希望して、学振の海外特別研究員制度に応募した。 平成29年度にも2名の派遣・招へいが決定しているほか、4名の希望が届いており、本研究課題の活動は海外においても十分に認知されている。当初は海外機関向けの英文パンフレット等を用意する計画であったが、海外の研究者が積極的に招待しているほかホームページで随時更新する情報が有効なため、パンフレットは必要としない。今後も国際研究集会などを通じて、本研究課題の活動の認知度を高め、国際共同研究ネットワークの形成に努める。
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今後の研究の推進方策 |
測定と試料育成と理論の国際研究拠点との人的交流として、3ヶ月以内の若手研究者の招へいと派遣を推進する。具体的に派遣する研究者と派遣先は、領域外からも広く公募して、研究計画書などを審査の上、国際活動支援班で決定する。派遣者は報告書の提出と、研究会などでの報告を義務付ける。招へいに関しては、海外の研究拠点からの推薦を受け、同様に研究計画書を審査して、終了後には報告を義務付ける。 これらの派遣や招へいに関して、国際活動支援班のメンバーが適宜拠点を訪問して研究打ち合わせや研究準備を行う。派遣研究者が大学院生の場合には、滞在中に指導教員も派遣して、海外拠点での研究指導も可能にする。また、若手研究者招へい期間内に相手先研究機関の研究リーダーを招へいして、国際ネットワーク形成に向けた研究打合せや研究集会を行う。 今年度は9月に国際ワークショップを行い、これを通じて、さらなる国際共同研究ネットワークの形成を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
若手研究者の派遣と招へいは予定した件数を順調に行っている。計画では一件あたりの費用を120万円としていたが、実際はそれ以下の費用で行っている。滞在期間が3ヶ月に及ばない場合や現地での研究経費が当初予定より少額で済んでいるのがその理由である。派遣研究者が大学院生である場合は、指導教員の一時訪問の費用などが発生しているが、それを加えても当初費用より安価に派遣している。一方で、派遣後に研究成果取りまとめや研究連絡に旅費を希望する場合があり、それらの要望に今後も対応するために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
若手派遣について一件あたりの費用が予定より少なくて済んでいる一方で、短期滞在後も研究成果取りまとめや、継続実験による追加派遣の希望がある。これらの支出は当初の計画にはなかったものであるが、前年度に安価に済んだ派遣費用などを充てることで支出が可能となる。 若者の海外訪問については、安全性に不安を感じる場合が増えてきているが、海外研究拠点とも十分な情報の交換を行って、計画通りの派遣と招へいを継続していく。
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