研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
15K21733
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村山 斉 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (20222341)
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研究分担者 |
佐々木 節 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (70162386)
高橋 史宜 東北大学, 理学研究科, 教授 (60503878)
杉山 直 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (70222057)
羽澄 昌史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20263197)
宮崎 聡 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (20290885)
高田 昌広 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (40374889)
臼田 知史 国立天文台, TMT推進室, 教授 (10311177)
大栗 博司 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (20185234)
小松 英一郎 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 主任研究者 (00750316)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | インフレーション / ダークエネルギー / ダークマター |
研究実績の概要 |
今年度は、成果の再確認・俯瞰的かつ横断的な各分野の連携促進を目的に“Accelerating Universe in the Dark”国際会議を開催した。招待講演では宇宙のダーク成分に関する幅広いトピックの専門家を招聘した。具体的には、多元宇宙(野村泰紀氏:IPMU/UC Berkeley)、重力波からの重力理論の制限(Nicolas Yunes氏:Montana State U.)、宇宙データからのダークマターの制限の可能性(Cora Dvorkin氏:Harvard U.)、インフレーション(Alexei Staronbinsky氏:Landau Inst.)、LiteBIRD(羽澄昌史氏:KEK/IPMU)、構造形成の有効摂動理論(Leonardo Senatore氏:Stanford)、21cm宇宙論(Saleem Zaroubi氏:Groningen U.)、KiDSサーベイの現状(Hendrik Hildebrandt氏:Ruhr-University Bochum)、DESサーベイの現状(Elisabeth Krause氏:U. Arizona)、原始ブラックホール(Bernard Carr氏:Queen Mary U. of London)、欧州衛星計画Euclid(Valeria Pettorino氏:CEA Saclay)、NASA衛星計画WFIRST(Tim Eifler氏:U. Arizona)、修正重力理論(Xian Gao氏:Sun Yat-sen U.)、重力波とダークエネルギーの関連性(Kazuya Koyama氏:Portsmouth U.)など。 一方、一般講演は、大学院生、博士研究員に優先的に講演枠を提供し自身の研究成果について発表してもらい国際的且つ最先端の研究環境を若手に提供する機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙の大規模構造(広天域、高赤方偏移までの銀河の分布の観測データ)は、ダークマターの分布を探るだけでなく、ダークエネルギーの性質を探る強力な手段である。この宇宙大規模構造の宇宙論統計量の高精度測定を目指して、様々な大型観測プロジェクトが稼働中あるいは計画中だが、大型プロジェクトを最大限成功させるためには、宇宙の構造形成に関する理論的、統計的、また計算量などの様々な課題を解決する必要がある。これを踏まえ理論および観測、それぞれの大型プロジェクトに関与する専門家、研究者を一堂に会し、宇宙の大規模構造に基づく宇宙論の理論、手法、また観測の現状を理解し、展望を議論する会議を、若手を巻き込み開催出来たことは国際共同研究の推進、海外ネットワークの形成促進に将来的に繋がると考える。実際、本領域から出版された論文のほとんどが国際共著論文である。国際支援班の戦略的な支援が功を奏している。 また、H30年度末に開催された京都大学基礎物理学研究所での総括班会議を含めた新学術領域「なぜ宇宙は加速するのか?-徹底的究明と将来への挑戦-」研究会、その直後に続く新学術「加速宇宙」国際シンポジウム“Accelerating Universe in the Dark”には、幅広い年齢層の研究者160名程が参加した。研究会では、公募研究を含めた各計画研究の現状、将来の展望、また研究成果などを交えつつ包括的なレビューをする機会となった。特に若手研究者に発表の機会を与えるよう配慮した。また、国際シンポジウムでは宇宙のダーク成分に関する幅広いトピックの専門家を招聘し、各々のトピックについて、理論、観測、また実際の宇宙論観測の現状・展望など詳しい議論だけでなく、横断的に活発な議論を持つことができたことは、最終年度に向けて順調なステップと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引続き研究分野の推進に加え、将来の国際共同研究プロジェクトを担う若手研究者の育成の観点から(1)海外著名研究者の招聘をし、加速宇宙の研究分野の国際情勢の情報交換、大学院生・若手研究者の啓蒙活動、(2)海外で活躍する若手研究者の招聘を通して領域内の研究者とのserendipityを促し横断的共同研究の展開を図る。一方で、計画研究最終年度に向け成果の共有と分野間のsynergy効果を高めるため、国際活動支援班よりサポートを受ける学生を含めた若手研究者が積極的に多く参加出来る大型の国際会議開催の準備を進める。 将来有望な若手研究者のサポートも継続する。安定的な研究環境の提供により若手研究者の国際的な頭脳循環の流れを促進する。(例:横崎統三氏・東北大学・専門:現象論、仲村佳悟氏・カブリ数物・専門:PFS、真喜屋龍氏・カブリ数物・専門:観測データ論、Pi, Shi氏・カブリ数物・専門:インフレーション)。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画調書で予定していた本領域の国際研究活動を加速させる「加速宇宙研究員」宮武広直氏(H27からH29.9国際共同研究機関側JPL/Caltech所属、H29.10から名古屋大学)の人件費各年7,000千円がJPL側の負担により不要となり、その後は名古屋大学助教に正式採用となった。 計画研究最終年度に向けて本計画で期待する「加速宇宙研究員」に見合う研究者の採用を見送り、引き続き新学術領域研究班で採用されているポスドク・助教の海外研究機関での研究滞在支援、学生を含めた内外の研究会・国際会議への支援に充当していく。
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