研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
15K21734
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
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研究分担者 |
久世 正弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (00225153)
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70272523)
吉田 滋 千葉大学, 大学院理学研究科, 教授 (00272518)
中村 光廣 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (90183889)
金 信弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50161609)
丸山 和純 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80375401)
安田 修 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50183116)
佐藤 透 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10135650)
北野 龍一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50543451)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2018-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 素粒子 / 宇宙 / 加速器 / 原子炉 |
研究実績の概要 |
国際活動支援班では、ニュートリノ研究の将来計画を国際的な枠組みで議論し、方針と戦略を決定する。そして、日本のニュートリノ研究の成果を広く世界に発信し、戦略的に外国の研究者と交流していく。 活動実績として、(1)リーダークラスを海外での重要な国際会議や主要研究所でのセミナーに派遣した。2016年は世界中のニュートリノ研究者が一堂に会する「ニュートリノ国際会議」がロンドンで開かれ、中家を始め、多くの日本人研究者が参加した。そこで、日本からの成果を発信し、今後の国際的なニュートリノ研究の指針を議論し、国際的ネットワークを構築した。中家は、ヨーロッパの素粒子物理研究所CERNで、Scientific Policy Committee(CERN所長も参加)に参加し、日本のニュートリノ研究の成果と将来計画を報告し、今後の協力関係について議論した。 (2)領域から出る成果の国際的認知度向上のため、研究の最前線で活躍している若手研究者多数(A01班だけでも、田中、江、仲村、中西、坂下、Megan、金、坂下、関口)を海外に派遣し、成果発表を行った。(3)海外の著名な研究者(英国Imperial College London大学のLouis Lyon教授)を日本に招聘して、統計の専門講義を含め、領域の活動をサポートして頂いた。(4)海外の中堅研究者を積極的に招聘し、関係を強化した。イギリスからXianguo Lu氏、イタリアからAntonio Palazzo氏、を招聘し、共同研究を推進した。(5) 海外の研究者と「国際ニュートリノ研究ネットワーク」の強化・推進を進めた。日本で計画しているハイパーカミオカンデ実現に向け、研究会を開いた。また、今後アジアの研究者との連携がより重要となると考え、中国、韓国、インド、ベトナムを訪れ「国際ニュートリノ研究ネットワーク」の基盤作りを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の項で説明した通り、当初策定した5つの目標をおおよそ達成することができた。総括班の実績報告で書いたのだが、2016年は日本で「ニュートリノ振動」の研究が大きく進展した年となった。そのため、多くの領域メンバーが海外に赴いて、日本からの成果を世界に向けて発信した。逆に、外向きの活動に注力した反動で、外国人の招聘が手薄となり、外国人研究者の長期招聘件数が少なくなってしまった。それでも、英国オックスフォード大のXianguo Lu博士を2ヶ月間京都大学に招聘し、共同研究を進めた。 (1)リーダー派遣、(2) 若手海外派遣、とも十分な数の研究者を海外の研究会やセミナーに派遣し、日本からの成果を十二分に世界に向けて発信できた。(3) 海外著名研究者招聘は、素粒子実験における統計処理の世界的権威であるLouis Lyon教授を招聘し、若手教育(講義・セミナー)と、本領域の国際戦略に助言して頂いた。(4) 外国人ポスドクの雇用と招聘は、やや計画より少なくなった。(5) 国内外国人研究者招聘は、Kavli IPMUのMark Hartz氏やChristophe Bronner氏、KEKのMegan Friend氏と研究打ち合わせを行い、ニュートリノ研究を国際的な枠組みで議論した。 以上のように、日本のニュートリノ研究の成果を広く世界に発信し、戦略的に外国の研究者と交流した。そして、国際的な枠組みでニュートリノ研究の将来計画を推進した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本領域の最終年度に当たる。領域全体の総括のために、国際レビューを実施する。世界のニュートリノ研究を率いる第一人者を招聘し、領域の成果をレビューし、今後の方針について助言をいただく。また、国際レビューに加えて、定常的な活動として、国内研究者の海外派遣と海外での成果報告、海外研究者の招聘を積極的に進めて行く。今後、アジアにおいて、ニュートリノ研究のような基礎研究がより活発になって行くと考えている。このために、アジア諸国(中国、韓国、インド、ベトナム)との連携を進め、共同研究提案へ向けた活動を推進する。具体例としては、中家が講師として中国でのニュートリノ国際スクールに参加する。中平、横山がインドに行き、共同研究案を議論する。ベトナムは、いままさに共同研究がスターし始めている。夏にニュートリノサマースクールを開催し、将来のPh.D候補学生を教育する。共同研究の一環として、ベトナム人研究者であるハノイ大学Nguyen Thi Hong Van博士を招聘する。 まとめると、国際的な枠組みでニュートリノ研究の将来計画を議論し、方針と戦略を決定していくために、次の5つの課題を推進する。(1) リーダークラスの研究者の海外派遣と国際ニュートリノ研究ネットワークの強化、(2) 若手研究者の海外派遣と成果発表、(3) 海外著名研究者の招聘と領域研究活動への参加、(4) 外国人研究者の招聘と雇用、共同研究の推進、(5) 国内外国人研究者招聘と国際ニュートリノ研究ネットワークの強化。
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次年度使用額が生じた理由 |
「ニュートリノ振動」の研究が大きく進展した年となり、たくさんの研究成果が出たため、海外に赴いて世界に向けて成果を発信する機会が増えた。逆に、外向きの活動に注力した反動で、外国人研究者の招聘が手薄となり、外国人研究者の招聘件数が予定より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
日本からの成果を海外で世界に向けて発信する活動を維持しながら、外国人研究者の招聘件数を増やしていく。具体案として、早速5月から、ベトナムからハノイ大学Nguyen Thi Hong Van博士を、フランスからBenjamin Quilain博士を招聘する。さらに、計画的に外国人研究者の招聘を進める。
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