国際活動支援班
領域内に国際連携コーディネータ室(英名 Liaison Office、以降リエゾン)を設置し、海外から国内研修拠点5機関(理研IMS、名古屋大学、浜松医科大学、順天堂大学、大阪大学)に短期滞在するための脂質解析研修コースを用意した。また制度としては国内から海外拠点に行く際の派遣生制度も設置した。第一回の領域会議においてリエゾンの活動目的とコーディネータ候補者を紹介し、2015年に二人、2016年初めに二人の研修者を受け入れた。また領域ホームページ内にリエゾンページを作成し(英語)、活動内容を記載した。研修申込、審査、報告等の電子化を進め、多くの作業をオンラインで実施する準備を整えた。総括班のデータベースセンターと連携して、リポクオリティ・脂質データベースを構築した。これはスプレットシート形式で記録された脂質の生体サンプル、分子クラス情報、定量値を元データとし、これに対してウェブ上のインターフェースから検索をかけて結果をグラフィカルに表示するシステムである。この定量データは脂質の分子構造や生理活性情報を収録するLipidBankデータベースと相互にリンクしている。元データとしてマススペクトルも保有するため、今後はMassBankデータベースとも連携する予定である。最後に国際連携の一環としてマススペクトルの国際的なID番号制度であるSPLASHの策定に携わっている。主に米国・ドイツ・スイスの研究者と共同で論文執筆を進めており、2016年度に発表できる予定である。これらの活動内容は国際メタボロミクス学会においても発表する。
2: おおむね順調に進展している
コーディネータ室:申請当時はコーディネータ候補としてNelson Kibinge博士の了承を得た上で準備していたが、同氏はWellcome Trustに急遽移籍した。そのため李東カン博士を28年度より雇用する手続きを整え、国際連携やメタボロミクスの基礎を学んでもらうことにした。国際連携活動として申請方法や研修内容を策定し、以下4件の短期実習を支援した。また支援活動を周知するための英語解説ページ、申込ページ、研修修了者が記載するアンケートページを作成し、インターネット上で研修者を一般公募する予定を整えた。-Liu Min博士(中国) 横溝班 1週間 エイコサノイド一斉定量-佐々木文之博士(オーストリア) 横溝班 2週間 BLT1と加齢黄斑変性に関する研究-Laura Silvia Alberioさん(イタリア) 岡村班 1ヶ月 膜タンパク質機能修飾のリアルタイム検出-Giovanni D’angelo博士 (イタリア) 瀬藤班 2週間 イメージング質量顕微鏡データベース及び国際標準化:総括班のデータベースセンターと連携して、リポクオリティ・脂質データベースを構築した。スプレットシート形式で記録された脂質の生体サンプル、分子クラス情報、定量値をウェブページから検索してグラフィカルに表示するシステムを構築した。またマススペクトルの国際的なID番号制度であるSPLASHの作成に携わり、主に米国・ドイツ・スイスの研究者と連携して論文執筆を進めている。完成すれば分子構造におけるInChIキー番号(CAS番号に代わる国際的なID番号)に似た体系を構築、普及させられる。また2016年夏の国際メタボロミクス学会において国際標準のワークショップを企画し、採択された。
コーディネータ室:28年度以降は、作成したウェブページ等を利用して申込・審査・渡航手続・報告書作成の大半をオンラインで処理できるように体制を整える。またMetaboNews等の国際的なメーリングリストに研修制度の内容を投稿する。また公募班を通じても制度を周知し、より多くの国から実習の受入を実施する。4月から雇用を開始する李東カン博士には申請者や申請内容の取りまとめを担当してもらう。また日本から海外への短期滞在も支援を開始する予定である。データベース及び国際標準化:マススペクトルの標準IDであるSPLASHを論文化し、できるだけインパクトの高い国際誌で周知して普及を図る。またこのID体系をMassBankをはじめ、多くの国際データベースで採用してもらう。そのためにも国際メタボロミクス学会におけるワークショップを成功させ、多くの研究者に標準化の意義を理解してもらう。リポクオリティ・脂質データベースは脂質分子の実測マススペクトルも情報として含んでいるため、LipidBankだけでなくMassBankとも連携し、SPLASHを有効利用する。またEncyclopedia of Lipidomics (Springer社)の編集を進めている。
Kibinge博士が研究開始直前に転出してしまい、予定した10月からのコーディネータ雇用を実現できなかった。急遽代替となる人員を探し、李東カン博士に着任してもらう人事を整えたが、国立遺伝学研究所の給与水準が移籍元(奈良先端大)よりかなり低く、速やかに移籍できなかった。27年度中は依頼出張の形で業務を学んでもらい、28年度より正式に移籍することとなり、結果として人件費が大幅に残った。
27年度中に達成できなかった作業を28年度中に終えるため、英語のできる研究補助員を追加して雇用し、繰り越した人件費を消化する予定である。とりわけホームページ情報の充実、制度の周知とオンライン化等に携わってもらう。同時にメタボロミクスやリピドミクスの基礎を学んでもらい、習熟次第、データベースの構築やデータ整理にも従事してもらう。予定するスリランカ出身の人材(国立遺伝学研究所で博士号取得)は現在労働ビザが取得できていないため、手続きを急いで雇用体制が整う7月以降より従事して貰う予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Metabolomics
巻: 12 ページ: 14
10.1007/s11306-015-0879-3
https://sites.google.com/site/lipoqualityjpn/home/liaison-office