国際活動支援班
領域の国際連携コーディネータ室を通じて、海外6カ国から国内5拠点(総括班員の所属機関)へ6名(平均滞在期間1ヶ月)、日本から海外1機関へ2名(滞在期間2週間)の研究者派遣を実施した。1件を除いては学生又はポスドクという若手を支援対象とし、事後アンケートにおける派遣者の満足度は全員満足であった。事後アンケートを含め、交流制度の申込・報告等はすべてウェブ申請になっており、支援の概要や対象者の体験記は領域ニュースレターにも掲載している。また、昨年度に引き続きリポクオリティ・脂質データベースを構築している。MassBankで開発したプログラムコードを利用し、脂質のマススペクトルを拡大縮小しつつ閲覧、総量を円グラフや棒グラフで比較できるJavaScriptインターフェースをLipidBank内に構築した。初期データとして総括班研究グループの情報を掲載し、領域内での限定共有を開始した。国際連携の面では、国内外の情報系研究者とともにComputational MassSpectrometryというグループを立ち上げた。国際メタボロミクス学会と連携しつつ、定期会合を開催する協定を結んだ。また実験系研究者とともに、リピドミクス研究におけるプロトコルの統一に向けた国際協議を開始し、標準化を進めている。
3: やや遅れている
コーディネータとして李東カン博士を採用し、国際連携やメタボロミクスの基礎を学ぶと同時に実習形式で研修取りまとめを実施した。当人の英語力や研究意欲に問題は無いが、コーディネータという役職は日本の研究費制度を熟知し、事務処理能力に優れていないと難しい。このため、コーディネータ業務を任せることは難しく、今後国内研究事情に詳しい人材の確保を検討する必要がある。本年度は以下の研修を支援した。海外から日本(6名):Fumiyuki Sasaki(オーストリア)横溝研、1週間;Zuzana Lubovska(チェコ)藤本研、1ヶ月;Ville Koistinen (フィンランド)有田研、2週間;Eugenia Sergeev (イギリス)青木研、2ヶ月;Michael Boesgaard (デンマーク)青木研、1ヶ月半;Fredlik Elinder (スウェーデン)岡村研、1週間。日本から海外(2名):Ipputa Tada, Wataru Tanaka (日本)、UC Davis, Oliver Fiehn Group、2週間。データベース及び国際標準化については、スプレットシート形式で記録された脂質の分子クラス情報や定量値を、棒グラフ、円グラフ等で図示するJava Scriptを開発した。またMassBankが公開するスペクトル表示機能を利用して、LipidBankデータベース内でデータを閲覧できる仕組を整えた。現在、総括班の複数グループの情報を収集して領域内で限定共有しており、論文出版と同時に個々のデータ毎に一般公開する方針である。年度末にComputational MassSpectrometryと呼ばれる研究グループ二十数名で、データの公開と共有、定期的な会合の開催、そして共同研究推進の合意文書(Shonan Agreement)を作成した。
コーディネータ室:申込・審査・渡航手続・報告書作成まではオンラインで処理できるようになったが、申請時の対応やQ&Aについては事務処理の説明等、細かな対応が必要になる。こうした内容問い合わせについて日本人スタッフが対応できる体制を29年度に整える。MetaboNews等の国際的なメーリングリストに研修制度の内容を紹介したものの、実際に長期滞在できる人材はそう多くない。また研修の詳細が不明の場合、応募しづらくなる。そのため、李東カン博士にリピドミクスに使うソフトウェアツール講習会を企画してもらい、複数の希望者に対して滞在型の講習会を企画する予定である。データベース及び国際標準化:国際的にリピドミクスやメタボロミクス情報標準化の機運が高まっているため、国際コンソーシアムに積極的に参加して、国内研究成果のアピールに務めるとともに、それらのデータが死蔵されないよう工夫する。LipidBank、MassBankといった国内サイト・機関との連携だけでなく、データの国際共有を実現する。これには作成したSPLASHハッシュキーを有効利用し、Shonan Agreement に沿った形でおこなう。また、Encyclopedia of Lipidomics (Springer社)の編集も継続して進める。
李東カン博士にデータベース及び国際標準化も担って貰う予定であったが、業務の複雑さや国際的な人脈の点から難しく、また中国籍であることから海外渡航が(VISAの関係で)自由にしづらい。そのためコーディネータ室で旅費を利用することがなかった。またメーリングリスト等を利用して研修制度を周知しているがまだ応募数が少なく、2016年度は8件の渡航支援にとどまっている。渡航計画は人によって期間もまちまちで見積りが難しく、結果として次年度への繰越が発生した。
日本語の研究事情をよく知る研究補助員を雇用し、コーディネータ室における書類作成や報告書の作成を支援してもらう予定である。英語部分は李東カン博士、日本語の書類は雇用する研究補助員という役割分担でコーディネータ室を運営する。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (5件)
Nature Biotechnol
巻: 34 ページ: 1099-1101
10.1038/nbt.3689
Front Bioeng Biotechnol
巻: 4 ページ: 63
10.3389/fbioe.2016.00063
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