研究領域 | がんシステムの新次元俯瞰と攻略 |
研究課題/領域番号 |
15K21741
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | がん / システム生物学 / ゲノム科学 / バイオインフォマティクス / 人工知能 |
研究実績の概要 |
相互派遣企画委員会(委員長:小川誠司)、並びに国際共同研究推進委員会(委員長:稲澤譲治)を、メールによる合議により企画並びに国際共同研究推進に関する議論と意思決定を行った。その主な活動は、国際共同研究先への派遣準備・派遣、国際共同研究を推進するためのハブ形成のためのワークショップの準備であった。平成28年度に経費が発生したものに関しては、小川誠司(計画研究代表者)が、タイ国チュラロンコン大学より研究員を2回に分けて受入、国際共同研究が進展した。また、同計画研究からハーバード大学へ研究者を派遣することに加え、これまでに作り上げた研究者ネットワークから計画研究の実績報告書に記載されているように多くの共同研究を推進され、世界トップレベルの成果がでている。また、岡田随象(計画研究代表者)が英国サンガー研究所より研究者を招聘し共同研究が進み始めた。また、経費は発生していないが、宮野悟(計画研究代表者)はシカゴ大学とは1回/月の頻度でビデオ会議により共同研究を進めるとともに、シカゴ大学の経費で研究者が東大医科学研究所に来訪し、共同研究成果が論文として出た。シカゴ大学とはヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータと本新学術領域で開発したソフトウェアにより、共同研究が実施された。さらに、稲澤譲治(計画研究代表者)は、韓国のソウル大学、及び米国オクラホマ大学と交流を行っており、計画研究等の研究者を巻き込んで国際共同研究の推進をはかっている。昨年、武藤香織(計画研究)がELSI関係でフィンランドへ研究者を派遣したが、その基礎に基づき共同研究が芽生えている。また、宮野悟(計画研究)が中国科学院生命科学研究所と連携強化のために、訪問したが、それが結実し始め、平成29年の3月にシンポジウムに招待されることとなり、研究の施策も含め議論が始まった。人工知能応用について国際ネットワークに招待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
人材の交流が活発化しはじめ、国際共同研究の具体的な成果がではじめたことは大きな意義がある。とくに、本事業により、若手の交流が行われヒューマンネットワークを作ったことは、将来に向けての重要な成果と言える。また、国際的な研究者コミュニティをリードし、国際社会における我が国の存在感を維持・向上するための方針・戦略に基づき、スパコンリソース及び旧新学術領域「システムがん」及び本新学術領域で整備したソフトウェアを国際利用可能なようにした。東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターにスーパーコンピュータシステムSHIROKANE (Shirokane 3&4)が2017年より稼働を始め、550TFLOPS計算システム、高速ディスクアレイ30PB (Lustre File System)、ニアラインアーカイブ100PBに拡張され、国際がんゲノムコンソーシアムの全ゲノムデータのアジア・ミラーサイトの構築に向かうことができたことは国際共同研究の推進として大きな意義がある。これは、国際社会における我が国の存在感を維持・向上することに極めて大きく貢献すると考える。その実績は、国際がんゲノムコンソーシアムに限らず、世界トップジャーナルを含む多くの専門誌に大きなインパクトをもって報告されていることからもわかる。さらに、Watson for Genomicsを東京大学医科学研究所に導入し、その活用状況を世界にわたるアウトリーチ活動のなかで報告してきたことにより、人工知能活用をとおしてがんにかぎらず、生命科学研究の方法論を新次元へと昇華していく国際連携がはじまったと考えている。少なくとも、本新学術領域はがん研究における人工知能応用のアジアのハブになっているといっても言い過ぎではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の企画を継続・更新し、相互派遣企画員会において派遣と受入についての企画を検討し、海外の研究グループとの共同研究を推進する。このプロセスは、これまでと同様応募要領を作成し、応募を行う。応募者に対しては、随時委員会において審査を行い、派遣する研究員を決定する。また、海外からの受入れについても同様に、領域内の研究室への受け入れ研究員の決定を行う。派遣及び受入の期間については、効果をねらい、短期から長期まで経費の範囲内で柔軟性を持たせる。国際共同研究推進委員会においては、がん研究の新展開に関する国際動向の分析を行う。その他の事項についても、前述の活動を継続して実施する。特に、平成29年度は、これまでに調整してきた人材交流計画を実施する時期となっており、西塚哲(公募研究代表)は、ジョージメイソン大学に2名の研究者を派遣することになった。また、稲澤譲治(計画研究代表者)は国際共同研究の推進のために、ソウル大学、米国スクリップス研究所、シカゴ大学、オクラホマ大学、ハワイ大学からステークホルダー研究者を招聘し、日本からは本新学術領域のメンバー及びその他慶應義塾大学、神戸大学等から研究者を東京医科歯科大学に招聘し、システム癌新次元の先に想定されるものについて議論することになっている。さらに、岡田随象(計画研究代表)と宮野悟(計画研究代表)は、若手班員にイニシアチブをとってもらうことにより、“Systems Genomics”という概念形成にむけて、韓国ウルサン医科大学1名、英国サンガー研究所3名、米国マウントサイナイ2名、ミシガン大学1名、ハーバードメディカルスクール1名、国内からは班員の他も含め、少数精鋭形式で国際研究ハブを形成するために集まり議論する。Watsonについては米国本社の開発部と密に連絡をとって、国際共同研究を推進する体制を継続して作っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
企画調整、及び国際共同研究推進の施策に基づき、次項の「使用計画」に説明している内容で平成28年度に研究者の交流・派遣を実施すよりも、より本新学術領域の機が熟し、準備が十分に整っていると期待される平成29年度に実施することが、本事業の目的を遂行するために最適と考えられるため。
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次年度使用額の使用計画 |
西塚哲(公募研究代表)は、ジョージメイソン大学に2名の研究者を派遣。また、稲澤譲治(計画研究代表者)は国際共同研究の推進のために、ソウル大学、米国スクリップス研究所、シカゴ大学、オクラホマ大学、ハワイ大学からステークホルダー研究者を招聘し、日本からは本新学術領域のメンバー及びその他慶應義塾大学、神戸大学等から研究者を東京医科歯科大学に招聘し、システム癌新次元の先に想定されるものについて議論する。さらに、岡田随象(計画研究代表)と宮野悟(計画研究代表)は、若手班員にイニシアチブをとってもらうことにより、“Systems Genomics”という概念形成にむけて、韓国ウルサン医科大学1名、英国サンガー研究所3名、米国マウントサイナイ2名、ミシガン大学1名、ハーバードメディカルスクール1名、国内からは班員の他も含め、少数精鋭形式で国際研究ハブを形成するために集まり議論する。
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