研究領域 | 多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出 |
研究課題/領域番号 |
15K21742
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
西田 眞也 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 主幹研究員 (20396162)
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研究分担者 |
岩井 大輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90504837)
堀内 隆彦 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 教授 (30272181)
佐藤 いまり 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50413927)
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
岡嶋 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60377108)
南本 敬史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, チームリーダー(定常) (50506813)
土橋 宜典 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (00295841)
神谷 之康 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (50418513)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | 質感 / 情報工学 / 認知工学 / 神経科学 / 感性情報学 |
研究実績の概要 |
【Cornell大との連携】2016年5月に、質感に関する画像データベースOpenSurfacesプロジェクトを総括するKavita Bala教授を西田と中内で訪問し、今後の協力体制について議論した。データベース以外でも、Bala教授らが開発した刺激操作アルゴリズムを菅生班(公募)の動物実験に利用するといった共同研究にも発展している。また、Bala教授の博士学生が佐藤いまり研究室で実習生として滞在し、布の物理レンダリングに関する共同研究を行った。 【SPIE Measuring, Modeling, and Reproducing Material Appearanceとの連携】富永が会議の動向を調査し、具体的な連携に向けた検討を開始した。 【アメリカ国立衛生研究所(NIH)との連携】南本は、NIHとの共同研究において、Barry Richmond氏、Richard Saunders氏を招聘した。DREADD法で情動・価値判断に重要な脳部位を操作することを計画し、技術指導を受け2頭に外科手術を施した。 【Oxford大との連携】岡嶋は、食品の質感認知に関するクロスモーダル研究をCharles Spence教授らと進めた。H28年度は日本の多感覚研究者と共に情報交換を行なった。 【Drexler大との連携】佐藤いまりは、Nishino教授と、水の光学特性の解析、wet/dryによる質感の変化、反射特性に頑健な形状推定手法について共同研究を直実に進めた。本共同研究では、水による吸収の影響が近赤外で顕著にあらわれることに着目し、これまで困難であった反射特性が複雑な物体の形状推定を実現した。さらに、wet/dryといった状態変化に基づく質感の変化のモデル化に取り組んだ。その成果はコンピュータビジョン分野のトップ会議であるECCV2016、CVPR2017に採録された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・この基金の使い方のルールが不明確で、手探りで始まった。当初は領域メンバーの中で長期海外派遣を希望するものを公募するという案もあったが、分担機関と雇用関係のないものに基金から給与を支払うことは難しいという判断から、計画研究の国際共同研究のサポートという形に落ち着いた。このような事情もあってH27、28年度の利用申請は少なく、使用した基金は交付額の半分程度となった。しかし、H29年度からは多くの新しい国際連携プロジェクトへの支援要請が上がって来ている。繰越手続が不要であるという基金のメリットを活かして、これらのプロジェクトの要請に対して、臨機応変に対応していく。 ・NIHとの共同研究においては、局所脳活動を非侵襲に操作するDREADDという技術を共同で霊長類脳に適用させる技術開発を行ってきた。その結果、視覚に伴う価値判断の神経回路に関する重要な発見が生まれてきた。現在進行中の研究においても、良好な結果が得られており、今後も感性的質感認知の神経機構の一端を明らかにするうえで、重要な切り口になることが期待できる。 ・Oxford大との共同研究に関しては、H28年度に食品の質感認知に関する新たなクロスモーダル実験の準備が進み、H29年度から日本と英国で同時に実験を実施する予定であるが、Oxford大学の実験室でアスベストが発見されて使用できなくなってしまったため、現在は新しい実験室が準備されるのを待っている。 ・国際会議SPIE Measuring, Modeling, and Reproducing Material Appearanceに関しては、日本からの出席者が少ないことが連携実現への障害となっている。
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今後の研究の推進方策 |
南本は、H29年度にNIHの2研究者を招聘し、追加の外科手術を実施する予定である。加えて、若手研究者とともにNIHを訪問し、共同研究における解析法などについて議論する。/岡嶋はOxford大学での新しい実験室が準備され次第、ARを応用した飲料や食品の質感に関する共同実験を開始する予定である。/佐藤いまりは、Drexel大学のNishinoと、wet/dryといった表面状態の変化に伴う質感変化についての研究をさらに進める。さらに、Carnegie Mellon大学やRutgers大学と共同研究の可能性を模索する。/佐藤洋一は、Cornell大学のBala教授のラボに学生を派遣し、布地の複雑な見えのモデル化についての共同研究を進める。/富永は、今後もSPIE Measuring, Modeling, and Reproducing Material Appearanceとの具体的な連携を目指して推進する。/土橋は、7月中旬から10月中旬までスタンフォード大学・Doug James氏の研究室に滞在する。主な研究内容は、物理シミュレーションと録音波形を融合した効果音生成に関する研究で、仮想空間における様々な効果音生成(衝突音、流体音など)に関して、物理シミュレーションと録音波形を組み合わせることで、低コストかつ高音質な効果音生成のための仕組みを開発する。/梶本は、博士学生をVincent Haywardの研究室(University of London, School of Advanced Study)に短期留学させる。彼が以前開発した水平振動型の触覚分布提示装置Lateroを使った研究を予定。/岩井は、Bernd Bickelとの共同研究で、担当学生の長期滞在を行う。時限プロジェクトのPRISMは2016年で終了したが、次のプロジェクトが計画されており、連携体制を維持する。
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次年度使用額が生じた理由 |
この基金の使い方のルールが不明確で、手探りで始まった。当初は領域メンバーの中で長期海外派遣を希望するものを公募するという案もあったが、分担機関と雇用関係のないものに基金から給与を支払うことは難しいという判断から、計画研究の国際共同研究のサポートという形に落ち着いた。このような事情もあってH27、28年度の利用申請は少なく、使用した基金は交付額の半分程度となった。しかし、H29年度からは多くの新しい国際連携プロジェクトへの支援要請が上がって来ている。繰越手続が不要であるという基金のメリットを活かして、これらのプロジェクトの要請に対して、臨機応変に対応していく。
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次年度使用額の使用計画 |
岡本班、岡嶋班、佐藤班、に加えて、土橋班、梶本班、岩井班の国際連携を開始する。
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