国際活動支援班
植物の環境応答について、従来行われてきた局所的・自律的な解析に加え、植物全体に維管束を介して環境シグナルを伝える長距離シグナル伝達と、ヒストン修飾やDNAメチル化などのエピジェネティックな制御により環境シグナルを時間的にキャッシュする記憶を取り入れ、統合的な観点から環境応答の研究を進める。世界的にてみてもこのような取組みを進める研究グループは世界的に見ても例がない。海外の研究機関の中でも環境応答やシグナル伝達、エピジェネティック制御等の関連分野で研究が進んでいる英国のJohn Innes CentreとThe Sainsbury Laboratory、および米国のStanford University, Carnegie Instituteも本領域の統合的な視点から植物の環境応答の解析を進めることに注目、賛同している。本領域はこのような世界的に著名な研究機関を海外共同研究拠点として、緊密な国際研究体制・国際ネットワークを確立することで、本領域から新たな世界の研究潮流を生み出し、領域全体の国際展開を加速させる。そのために領域代表と計画研究代表の8名からなる国際活動支援班を総括班内に設置し、派遣する人員の募集、選抜、派遣を進めてきた。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、計画研究杉本班の博士研究員、柴田美智太郎博士の英国John Innes Centre・Robert Sablowski教授研究室における「根毛細胞をモデルとした環境に応答した細胞の成長制御機構」の国際共同研究、計画研究福田班の助教、近藤侑貴博士の英国Sainsbury Laboratory・Yrjo Helariutta教授研究室における「植物の維管束形成の分子メカニズム」の国際共同研究、計画研究木下班の特任助教、ワン・イン博士の米国カリフォルニア大学サン・ディエゴ校・Julian I. Schroeder教授研究室における「気孔開口の主要因子である細胞膜プロトンポンプと内向き整流性カリウムチャンネルの環境応答についての電気生理的解析」の国際共同研究など、合計9件の海外派遣および海外研究者の受入れを進めてきた。
平成28年度からは新たに公募研究も加わるため、領域内で改めて国際共同研究の公募を行い、その選抜を行う。公募は少なくとも年2回程度行う予定である。応募が多数の場合にはTOEFLのスコア、年会、若手の会等の英語での発表能力などを基軸に英語コミュニケーション能力の高い人材を優先的に派遣する。また、The Sainsbury Laboratory等で毎年開催されるサマースクールにも学生等を派遣し、研究者キャリアの早い段階で最新の研究に触れさせ、同時に、若手研究者ネットワークを構築させる。さらに、海外からの日本に滞在して共同研究を行う支援も積極的に進めていく。海外渡航が複数年または年度をまたぐ場合は、年度ごとに申請書を提出するものとし、研究の進捗状況も含めて渡航継続の判断を行う。また、年度ごとに、海外渡航報告書を提出するとともに、領域ホームページやニュースレターに掲載し、領域内外へ情報を発信する。
本予算が平成27年11月以降使用可能となったため、年度内での全額使用ができなかった。
平成28年度から加わる公募研究代表者も含め、新学術領域全体で国際共同研究の円滑な遂行に役立てるように使用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Science
巻: 349 ページ: 864-868
10.1126/science.aab3831
Nature Genetics
巻: 47 ページ: 784-792
10.1038/ng.3309
Nature Plants
巻: 1 ページ: 15089
10.1038/nplants.2015.89
巻: 349 ページ: 540-543
10.1126/science.aab1140
http://www.rs.tus.ac.jp/plantmemory/index.html