国際活動支援班
植物の環境応答について、従来行われてきた局所的・自律的な解析に加え、植物全体に維管束を介して環境シグナルを伝える長距離シグナル伝達と、ヒストン修飾やDNAメチル化などのエピジェネティックな制御により環境シグナルを時間的にキャッシュする記憶を取り入れ、統合的な観点から環境応答の研究を進めている。このような取組みを進める研究グループは世界的に見ても例がない。海外の研究機関の中でも環境応答やシグナル伝達、エピジェネティック制御等の関連分野で研究が進んでいる英国のJohn Innes CentreとThe Sainsbury Laboratory、および米国のStanford University, Carnegie Instituteも本領域の統合的な視点から植物の環境応答の解析を進めることに注目、賛同している。本領域はこのような世界的に著名な研究機関を海外共同研究拠点として、緊密な国際研究体制・国際ネットワークを確立することで、本領域から新たな世界の研究潮流を生み出し、領域全体の国際展開を加速させる。そのために領域代表と計画研究代表の8名からなる国際活動支援班を設置し、派遣する人員の募集、選抜、派遣を進めてきた。平成30年度は、領域推進に特に必要な国際共同研究を推進する3名の長期若手研究員の受け入れを含め、13件の国際共同研究を支援した。また、これまで国際共同研究の成果として、杉本班よりPlant & Cell Physiology誌に「A gene regulatory network for cellular reprogramming in plant regeneration. (2018)」が発表された。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度は、領域推進に特に重要な木下班、白須班、杉本班における国際共同研究を推進する3名の長期若手研究員の受け入れを含め、13件の海外共同研究を支援した。海外共同研究拠点以外との共同研究も増え、海外共同研究の質・量ともに増加してきている。
平成30年度から新たに公募研究19班加わったため、領域内で引き続き詳しい案内を行い、国際共同研究の公募を行っていく。公募は少なくとも年2回程度行う予定である。応募が多数の場合にはTOEFLのスコア、年会、若手の会等の英語での発表能力などを基軸に英語コミュニケーション能力の高い人材を優先的に派遣する。さらに、今年度からは、海外から日本に滞在して共同研究を行う支援を積極的に進めててきたが、引き続き、主だった海外共同研究における海外共同研究者を博士研究員として、3名程度を目処に雇用し、着実な共同研究を実施したい。海外渡航が複数年または年度をまたぐ場合は、年度ごとに申請書を提出するものとし、研究の進捗状況も含めて渡航継続の判断を行う。また、年度ごとに、海外渡航報告書を提出するとともに、領域ホームページやニュースレターに掲載し、領域内外へ情報を発信する。
平成30年度は13件の国際共同研究を実施したが、これらの国際共同研究が予定以上に順調に進み、短い期間で終了したため、次年度使用額が生じたと考えている。次年度も、国際共同研究の支援を積極的に実施すると共に、主だった国際共同研究における海外共同研究者を博士研究員として3名程度を目処に雇用し、着実な共同研究を実施したい。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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